直線上に配置

水産上重要な魚類 (10)  カレイ目  

直線上に配置

 カレイ目
 ヒラメ、カレイ、ウシノシタ等の魚類は体の左右が全く違うため異体類とも呼ばれる。本県には32種を産するが北方系のカレイ類の種が多い。


     ヒラメ科     カレイ科     ウシノシタ科



 ヒラメ科
 目が体の左にあるカレイ類で、右目が左に 移動するため右目の視神経は常に背側に位置する。ヒラメ、タマガンゾウビラメ、ガンゾウビラメ、アラメガレイの4種を産するが、ヒラメ、アラメガレイの他は少ない。カレイ科よりも諸種の点で原始的とされる。

 ヒラメ
 全県沿岸に産し、浅海から水深200mの沖合まで分布する。漁法も多彩であり、刺網、定置網、底建網、底曳、1本釣等で漁獲される。雌は全長40cm(満3歳)前後で成熟し、6〜8月の産卵期には浅所に入ってきて長期間に わたって産卵を続ける。冬場は深みに降りて越冬する。全長1m近くに達する。ヒラメ類中最も美味。津軽の人は「タイとヒラメは殿様の魚」と言ったものである。

 本県ではヒラメの資源増大計画が平成2年度から実施され効果を上げている。種苗の大量放流と漁獲できる魚体の全長制限(35cm以上)、刺網の目合等の漁具規制、幼稚魚保護 区域の設定等の資源管理を組合せたもので、種苗生産と5〜8cmの放流サイズまでの中間育 成、放流効果調査等は階上にある県栽培漁業振興協会が実施しており、年間200万尾以上 の種苗が放流されている。昭和62年に、県の魚に指定されている。平成8〜14年には7年連続で漁獲量は千トンを超え、全国一の漁獲量を誇ってきた。

 晩秋から早春が旬で、脂分の少ない白身であるが濃厚な味わいである。筋肉中に遊離アミノ酸の1種であるタウリンを非常に多く含有しており甘味成分となっている。活魚で扱われることが多く、刺身、寿司ネタを最高とする。縁側と称する背鰭・臀鰭を動かす筋肉には脂が多く特別扱いされる。また、鱗を確り落した皮をさっと湯通しして、氷じめとし、細く切ってレモン汁をかけたものは酒のさかなとして逸品である。

 地方名:ヒラメは出世魚であり大きさによって呼び名が変化する(小から大へ)。
  津軽:テノヒラ−アオバ又はテックイ
  南部:ユノミ−ヘイガリ−アオバ−テックイ
     また、大ヒラメのことをオヒョウ(鰺ケ沢)、オオショウ(龍飛)という。

 アラメガレイ
 全長10cm未満の小型魚で、日本海七里長浜の水深15m以浅の浅い砂場に生息するが、一 般には知られていない。体高が高く、鱗が大きい特徴がある。食用にはしない。



 カレイ科
 多くの有用種を含む。22種が知られる。

 アブラガレイ
 太平洋深海に産する。日本海には少ない。全長1mに達する。
名前の通り、肉に脂が多く煮付けなどにすれば溶けてしまい折角の魚が台なしになる。そこで生れた地方名オカダボンダシ(オカダは嫁、ボンダシは追い出しの意)は本種の料理法を知らなかった可哀想なお嫁さんのことから来ている。

 側線は胸鰭上方の湾曲部がなく、油を流したように滑らかである。カレイ類の中ではカラスガレイと共に口が大きく、目の後まで大きく裂けており、魚食性が強い。昔は脂を肝油の原料とした。多くは練製品の原料となる。普通には不味。しかし、刺身や、蒸して脂を抜いて食べる法がある。
 近縁種にカラスガレイがあるが、本種よりも更に北方型であり、多くない。
 地方名:オカダボンダシ、トケガレイ、トロ(八戸)、キバガレイ(白糠)

 オヒョウ
 本県太平洋沿岸に産するが、多くはない。全長2.5m(250Kg、30歳以上)に達する世界最大の異体類である。稀に1m以上の大型魚が漁獲されることがあるが、多くは小型のものである。

 カリフォルニア以北の北太平洋に多く、カナダ、アメリカで共同の資源管理を実施していることでも有名(北太平洋オヒョウ条約)。
 
 尾鰭が大きく、イルカのように湾入しており、遊泳力が大きいことを示している。英名halibut はholy(神聖な)とbutte( カレイ類)の合成語で神聖な日(holiday)に食べられたことから来ているという。
 大西洋には近縁種がおり、冷水域でも成長の速いことからノルウェーでは種苗生産された種苗から養殖が盛んに行なわれている。
 刺身が良い。欧米ではステーキに用いられる。

 アカガレイ
 カレイ類は魚市場では白い裏を表にして並べられるがアカガレイはすぐ分かる。内出血したように赤いからである。カレイ類の中では口は大きい方である。全長45cmに達する。 水深200m以深の泥底に生息し、甲殻類、クモヒトデ類を食べる。日本海、太平洋底曳網、刺網で漁獲される。日本海に多い。
 刺身、塩焼、干物、煮付けなど。冬が旬である。

 ソウハチ
 左目が完全に体の右側に移動しておらず、頭の背面正中線上に位置している点が特異であり、裏返しになっていても前種同様容易に区別できる。日本海、太平洋沿岸での底曳網で漁獲される。独特の臭みがあり、干物、塩焼とする。全長40cmになるが、本県沿岸では大きいものは少ない。
 地方名:ソウハジ(チ)(一般)

 ムシガレイ
 体側に褐色に縁どられた淡色円斑が6個背腹に規則正しく並ぶところから虫食いまだらの虫鰈とされる場合が多い。しかし、本当は蒸鰈が正しい。本朝食鑑(1697)に、「鰈<略>采鮮鰈多子者、以塩水蒸之、令半熟而取出、陰干数日、号曰蒸鰈」とある。
 全県沿岸に産するが、日本海に多い。底曳、底建網、刺網、1本釣など。産卵期は初夏であり、この頃には浅い沿岸に来る。全長40cm。
 このカレイも裏を見るだけで区別出来る。他のカレイと異なり、白い部分が少なく、鰓蓋部と腹部に限られ、体が半透明に透けて見えるからである。この特徴から多くミズクサとかミズガレイと呼ばれることが多い。しかし、肉は締り刺身も良い。京、大阪では昔から若狭カレイと称し、塩干ししたものが喜ばれる。高級魚である。旬は冬である。
淡泊な味であることから南部地方では妊婦に食べさせていた(サントガレイ)。
 地方名:サイベ(陸奥湾)、サイバ(陸奥湾、八戸)、サントガレイ(鰺ケ沢、八戸)、サンバメ(八戸)、ミズガレイ(一般)、ミズクサ(日本海〜下北)

 ホシガレイ
 次種マツカワと同属のもので、よく似ているが、鰭の模様が異なる。本種では円形の模様であるのに対してマツカワではスジ状となっている。鱗が大きく粗雑な感じがするため松の皮を連想させるところから松皮である。両種ともに無眼側に小黒点が散在する。全長60cmに達する。体高が高く肉厚であるが骨格も骨太であるため肉の歩留は他のカレイに比べて落ちるという。産卵期は冬で、卵は直径1.6mmとかなり大きい。雄は無眼側が黄色味 を帯びるが雌は白い。雌が大形となる。

 東北以南東シナ海まで分布し、マツカワに比べて南方種と言える。マツカワ同様、栽培漁業対象種として種苗生産研究がなされているがヒラメのように水槽内で自然産卵による採卵ができず、卵を産んでも未受精卵がほとんどであり、採卵技術に問題のある種である。浮遊生活期の稚魚は尾部を除き全身真っ黒で、イシナギのように浮遊物に擬態する習性がある。カニ類を専食する変わった食性を示す。
 資源は非常に悪化しており、ヒラメよりもかなり高価な高級魚である。刺身、煮付けなど。
 地方名:タカノハ(深浦)、マツカワ(岩屋)、ワシガレイ(深浦)

 
写真 ホシガレイ.

 階上町産.カニが好物の変わった食性である.全長60pを超す.







 マツカワ
 ホシガレイよりも大形となり全長70cmを越す。三陸沿岸から北海道に多く産するが前種同様資源は枯渇状態にある。岩手県、北海道では栽培漁業の有望種として技術開発中である。
地方名:タカノハ(陸奥湾、鰺ケ沢)、タンタカ(八戸)、マスガレイ(陸奥湾)、ムギガレイ(八戸)、ワキガレイ(北金ケ沢)

 メイタガレイ
体高が高く体は菱形をなす。目は吻端近くに位置し、著しく前位で大きい。全県沿岸に産する。底曳網、刺網、底建網などで漁獲される。全長30cmに達するというが、本県ではせいぜい25cm程度にしかならない。南日本のカレイである。表皮に独特の臭気があり、松葉、ヨードの匂いがするというが、本県では横浜でタバコガレイという。そのため、料理は皮をはいでからというのが魚の通である。小さいので、唐揚げにすることが多く、美味。
地方名:スズメ(鰺ケ沢、尻労)、タバコガレイ(陸奥湾)、タマゴガレイ(陸奥湾、下北)、ビッキガレイ(陸奥湾)、マメガレイ(深浦)、メダカ(茂浦)、メダマガレイ(深浦)

 アサバガレイ
主側線の外に後頭部に分岐した副枝を持つ点が顕著な特徴となる。体高は高い。全県沿岸に産す。底曳網、底建網、刺網等で漁獲される。特に産卵期の冬場の子持ちカレイは美味。全長30cmに達する。煮付け、塩焼など。
地方名:アサバ(一般)、ウスガレイ(陸奥湾、八戸)、サントガレイ(八戸)、ダルマガレイ(八戸)、マルボン(深浦)

 スナガレイ
 吻が鋭く突出しており、頭部背縁が窪み特異なことと、無眼側の背腹縁に沿って濃黄色帯が広域に走る点で区別は容易である。冷水性が強く、全長30cmに達するが、本県では全長15cmほどの小型のものしか見られない。浅海の砂地に生息し、体色は砂色に似ている。不味であるが唐揚げ、煮付けなど。
地方名:キクバガレイ(陸奥湾)、キハダ(龍飛、陸奥湾、下北、上北)

 マガレイ
 次種マコガレイとの区別は一般の人には難しいであろう。マコガレイとの識別点は、まず鱗が大きく、粗雑な並び方をしていること、目と目の間(両眼間隔域)は狭く鱗がないこと、体の丸味が少なく撫で肩で女性的であること(マコガレイでは丸みが強く男性的)、無眼側の背腹縁に添って黄色帯があることなどである。しかし、黄色帯はないものもあるので注意が必要。以上述べたことは、ほぼ同サイズの標本を並べて比較することでよく理解される。ぜひ試して貰いたいものである。

 全県沿岸に産する。産卵期は初夏で、この時期には浅場にやって来る。卵は浮遊卵で、マコガレイの沈性粘着卵とは大いに異なる。陸奥湾で4-5月に船釣りで釣れるカレイは殆 ど本種である。全長40cmに達する。
底曳、底建網、延縄、刺網など。煮付け、唐揚げ、塩焼など。美味。
地方名:アカガシラ(陸奥湾、鰺ケ沢)、アカガレイ(青森、網羅、深浦)、クチボソ(深浦、下北)


写真 マガレイ.

 野辺地町産.マコガレイとの区別は一般の人には困難.裏に黄色の線があることが特徴







 マコガレイ
 体は肉厚で、がっちりした男性的な感じがある。鱗は細かく、眼隔域に数列の鱗がある点でマガレイと区別出来る。大分県日出の城下鰈は有名であるが本種のことである。前種同様、全県沿岸に産する。全長45cmに達する。産卵期は海域によってかなり異なり、秋以降早く水温が低下する陸奥湾で最も早く11〜12月、日本海で3〜4月である。卵は直径0.8mmとかなり小さく、また、卵膜には強い粘着性があり他物に付着する。

 背鰭、臀鰭にはっきりした黒色条紋を持ったものをクロガシラガレイとして別種扱いであったが最近マコガレイと同一種であることが確認された。産卵前の子持ちガレイは煮付けで美味である。日出の城下ガレイは刺身とするが、醤油に肝臓をすり潰したものを加え、ゆずを添えて食べる。地方名にマガレイと称するところがあり、本当のマガレイとますます混同しやすい。
地方名:クキガレイ(陸奥湾)、クチボソ(深浦、脇野沢)、クロガシラ(陸奥湾、白糠)、マガレイ(日本海沿岸、陸奥湾、牛滝、下風呂)、モガレイ(陸奥湾)、モバガレイ(岩屋)


写真 マコガレイ.

 野辺地町産.有名な大分県の城下ガレイは本種のこと.九州では食用となるカレイの種類が少なく珍重する.






 ヌマガレイ
 目のある側が「左ヒラメの右カレイ」の大原則を破る例外中の例外である。このような例外はヒラメ科のウロコメガレイ、カリフォルニア産のヒラメの1種などで知られている。
 本種は北太平洋全域に分布しているが、本邦産で100%が体の左に目があり全くの逆位となっている。しかし、逆位の割合は北アリュウシャン列島で68%、アラスカ南岸で58%、カ リフォルニアで55%となっており、地理的な 変異があることでもよく知られている。

 ここで面白いのは、ヒラメ科、カレイ科のそもそもの区別が目の位置にあることはカレイ目の所で既に述べたが、更に突っ込んで言うと、視神経交差の状態にある。
すなわち、脊椎動物の視神経は目と前脳(視葉)の間で必ず交差しており、硬骨魚類ではどちらの視神経が上になっているかは決まっておらず1:1の関係にある。

 しかし、ヒラメ科では目は本来の右目が左に移動して行くがこの際移動する目の視神経が必ず上(背側)に位置するし、カレイ科では逆になる。本種のようにカレイ科であって逆位の場合でも、この原則は変わらず、本来左目が右に移動するので目が左となっても左目の視神経が上になっており、その先の方の視神経がねじれている(松原、1955)。このことからも、本種がカレイ科であることが支持されるのである。

 何故逆位が生じるのかを含めて、この問題は非常に難しく、我々が種苗生産してできたものには天然界における逆位よりも非常に多くの割合で出現する。ヒラメでは逆位は少なく0.1%程度、マコガレイでは10〜20%の高率で出現する。また、表は着色し、裏は白いのが普通であるが、体色異常といって表がまだらに白くなったり、裏に色素が出たりすることが多く、この問題解決のため多くの機関で悩まされている。

 本種は目の位置の点でも、又、淡水域に侵入する点でも特異であり、カワガレイとも言われる所以である。体表には鱗の変形した星状突起が多数並びザラザラしている。水っぽく肉が柔らかであるが、煮付けなど。全長40cm。 産卵期は冬で、海に下って産卵する。
 地方名:タカノハ(龍飛、陸奥湾、下北、八戸)、ネコマタギ(龍飛)、ボケナスガレイ(陸奥湾)、カワガレイ(一般)

 イシガレイ
 体は両面共に無鱗で滑らかであるが、表の背腹中央部に2縦列の結石状の鱗板があるのが本種の特徴である。小さい内は目立たない。産卵期は前種同様厳寒期であり、浅海に来て産卵する。前種との天然交雑魚の存在が知られ、昔、北海道忍路産のものをオショロガレイと新種記載されたくらいである。1cmくらいに育った稚魚は初夏に1m前後の浅い砂浜海岸で育つ。
 全長40cmに達し、東京では刺身を重宝するが味には癖がある。
 地方名:イシカレ(一般)、イシモチ(陸奥湾)、セーダ(ガレイ)(下北、三沢、八戸)、セタ(セダ)(陸奥湾)、センダ(ガレイ)(陸奥湾、下風呂)、ヘダガレイ(龍飛)、ヘンダ(牛滝)

 サメガレイ
 前種同様、鱗はないが表には粗雑な結石状の骨板を密布する。鮫肌を連想させる所から起こった東京近辺の呼称である。裏は暗紫色を帯び粘液に富む。太平洋沖合の深海に産し、底曳網で漁獲される。
 深海底に多産するクモヒトデ類を専食する。口裂は無眼側のものが大きく有眼側の2倍ある。この点もクモヒトデを摂餌するのに都合よくできている。
皮を剥いで惣菜用とする。全長40cm。
 地方名:サメハダ(八戸)、セェダ(八戸)、ゾセガレイ(八戸)

 ヤナギムシガレイ
 ムシガレイの名があるが、ムシガレイとはかなり縁は遠く別属である。体高が著しく低く、細長い。頭も小さい。次種ヒレグロの幼魚に似るが、本種では頭部の無眼側に粘液腔がなく、鰭の縁辺は黒くない。
 全県沿岸に産するが、特に日本海に多い。底曳網で漁獲される。余り大きくならず、全長20cm未満のものが殆どである。産卵期は真冬で子持ちガレイは特に珍重される。

 身が薄く、普通塩干しにされる。山陰地方では小さなものは身を多少重ねて一枚板のように干しあげる。日本海沿岸における最高級カレイである。
 地方名:アブラガレイ(蟹田)、オイラン(深浦、鰺ケ沢、陸奥湾、下北)、ササヤガレイ(六ケ所)、ジベ(シベド)(鰺ケ沢)、ソウコ(ガレイ)(岩崎)、ヤナギ(ガレイ)(一般)、ヤナギッパ(深浦、鰺ケ沢)

 ヒレグロ
 体表から粘液を出し、ヌルヌルする。頭部無眼側の背部に数個の浅い窪み(粘液腔)がある。全ての鰭が黒く、無眼側も淡褐色を呈する。全長40cmを越すというが、本県産のものは未成魚で全長20cm以下の小型が殆どである。三陸沿岸で成長したものは南千島海域で成熟して初夏に産卵するという。
 日本海、太平洋沿岸の底曳網で漁獲される。
 身は薄く、塩干しに適する。大きいものは煮付けも美味である。
 地方名:オイラン(深浦、蟹田、尻屋、野牛、八戸)、オキオバ(八戸)、タイショウ(ガレイ)(鰺ケ沢)、ナメタ(ガレイ)(深浦)

 ババガレイ
 口は小さく、唇が肥厚する。身は肉厚で、体は粘液に富む。無眼側は白いが暗褐色の小斑紋を持つものが多い。日本海各地沿岸、北海道から本州中部太平洋沿岸に産する。太平洋産のものは12月頃北海道沿岸から南下を始め三陸沿岸で3〜4月に産卵する。春先刺網な どで漁獲されるものは産卵親魚である。全長60cmに達する大形のカレイである。 八戸では産卵前の子持ちガレイを特に重宝し、煮付けとして正月魚とする。太平洋岸での最高級カレイである。
 地方名:ウバ(オバ)ガレイ(八戸)、オオバガレイ(八戸)、ナメタ(一般)、ババ(一般)、マンクロ(ウ)(鰺ケ沢)



ウシノシタ科
 本科魚類は南のもので本県にはクロウシノシタとゲンコの2種を産すのみ。ゲンコは日本海底曳で混獲されるが小型で利用されない。
 ウシノシタ亜目に目が右にあるササウシノシタ科と左にあるウシノシタ科の2科を産する。この関係はカレイ亜目のカレイ科とヒラメ科のそれと同様である。

 クロウシノシタ
 吻が異常に発達して口の下まで長く伸び、頭部前縁を丸く形づくる。
 西洋料理で舌ビラメのムニエルとして用いられるものは南日本産のアカシタビラメ、イヌノシタが代表的なものであるが本種も全長35cmと大形となり漁獲量も多いことから代用品として用いられるようになった。

 砂浜海岸の浅所に分布しており、産卵期は夏で、この時期に刺網でまとまって漁獲される。冬期間は深所に移動し、底曳網で漁獲される。
 地方名:ウシノシタ(一般)、ウスババ(陸奥湾)、セキ(ギ)タガレイ(鰺ケ沢、今別、陸奥湾、牛滝:履物の雪駄からか?)、ゾウリガレイ(鰺ケ沢)、ナベナゴリ(陸奥湾)、ベ(エ)ゴノシタ(八戸)、ベロ(八戸)





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