青森県周辺海域で採集された魚類、頭足類の幼生
伊藤 欣吾
Larvae of Fishes and Cephalopods collected from
the Waters of Aomori Prefecture
Kingo Ito
Abstract ： The auther prepared the list of the larvae of fishes and cephalopods collected
by various plankton
net researches carried out in the waters of Aomori Prefecture from 1991
to 2001. The species reported in the
following papers were added to this study ： Aomori Pref.Fish.Exp.St.
( 1980−1991 ) , Shiogaki ( 1982b )
and Kawabata ( 1997 ). A number of species identified were as follows ：
45 species of fish larvaes and 3
species of cephalopods larvaes in the Japan Sea area,25 species of fish
larvaes and 3 species of cephalopods
larvaes in the Tsugaru Straits area , 60 species of fish larves and 4
species of cephalopods larvaes in the
Pacific Ocean area. In each area the appearance seasons of these larvae
were elucidated. However , there
were many specimens that could not be identified because of suthors'
poor identification technique. therefore,
it is sure that many other unidentified species would appear in the waters
of Aomori Prefecture.
青森県は本州最北端に位置し，沿岸海域は対馬暖流および親潮の影響下にある．青森県沿岸海域の魚類相は，寒暖流の両勢力の消長に伴い，寒暖漁魚族の出入りが激しいものの，北方起源の魚類がその多くを占め，暖海性魚類は季節的回遊をするものが大半である（塩垣，1982a）．このような特徴を有する青森県の魚類相について，塩垣(1982a)は精力的に標本を収集し，あわせて既存の知見を整理し青森県産魚類目録を報告した．さらに10年後に青森県産魚類目録補訂−１（塩垣ほか，1992）が報告され，青森県産魚類198科634種を公表した．
これらの記録は成体が主であり，仔稚魚に関しては，内田・道津（1958），青森水試（1979−1990），塩垣（1982b），永澤（1986），川端（1997），中央水産研究所（1999）が青森県周辺の一部の海域や，限定された魚種について報告されているが，青森県沿岸全水域に焦点を合わせた報告はない．
そこで本研究では，青森県周辺海域において，各種調査でプランクトンネットを用いて採集した仔稚魚と頭足類幼生について，分布を記録しておくこのと重要性を考え，ここに報告するものである．なお，著者が種まで同定でた魚類は44種のみであり，同定できなかった種は科もしくは目の分類群に留めた．
要 約
1991年から2001年にかけて，青森県周辺海域において，各種調査時にプランクトンネットで採集された魚類と頭足類の幼生を同定し，リストを作成した．また，青森水試（1980−1991），塩垣（1982b）および川端（1997）に記載されている幼生をこのリストに追加した．
青森県周辺海域において採集された魚類，頭足類の幼生は，日本海海域では魚類45種，頭足類3種，津軽海峡では魚類25種頭足類3種，太平洋では魚類60種，頭足類4種であった．また，これらの幼生が出現する時期が明らかになった．
しかしながら，著者の同定技術の低さから，同定できなかった標本が多数あった．このリストに記載された種の他に，数多くの幼生が青森県周辺海域に出現しているのは間違いない．