H19年度研究成果

 平成19年度研究成果  

研究テーマ
 海岸林用樹種の植栽結果について
要  約 
 マツ材線虫病被害に強い海岸林を造成する資料を得るために、クロマツに代わる樹種を選定し、青森県日本海側の海岸近くで植栽試験を行った。その結果、前線用の樹種としては、マルバアキグミとギンドロが最適と思われた。クロマツに代わる主林帯用の樹種として、海岸段丘上にエゾイタヤ、ケヤキ、シナノキ、ミズナラ、コナラを植栽したが、あまり成績は良くなかった。しかし、海岸段丘の突端近くに植栽したオオバヤシャブシは生長が早く、その後方に植栽した樹種はオオバヤシャブシによる庇護効果が認められたことから、前線に近く気象条件の厳しい場所では、保護樹帯の設置も含め、これらの樹種による海岸林の造成方法について、さらに検討する必要があろう。海岸第2線に植栽したカシワ、スギ、トドマツは良く活着しており、これらの樹種は海岸第2線以降に十分導入できるものと思われたが、スギ、トドマツは新梢枯れが目立ち、主風側に他の樹種による保護樹帯の設置が必要と思われた。

 

研究テーマ
 リンゴ剪定枝を利用した菌床栽培試験(Ⅱ)
 -シイタケ、マイタケ、初雪たけ栽培試験-
要  約 
 シイタケ、マイタケ、ナメコ白色子実体発生系統(以下「初雪たけ」と称す)について菌床培地基材としてリンゴ剪定枝の利用可能性について検討した。その結果、シイタケについては、剪定枝の混合割合で子実体発生重量についてバラツキがあり、子実体の傘径が平均で4cm以下の生シイタケ規格Sサイズの価格が低いものが多い結果となった。また、培地使用期間が長くなると培地が崩れやすいなどの欠点も見られた。マイタケについては、剪定枝の加工形状やブナオガクズとの混合割合にかかわらず、対照区より子実体の平均発生重量が多く、菌床培地基材として利用が期待できることがわかった。初雪たけについても、同じように剪定枝の加工形状やブナオガクズとの混合割合にかかわらず、対照区より子実体の平均発生重量が多く、菌床培地基材として利用が期待できることがわかった。

 

研究テーマ
 スギ精英樹のさし木発根性
要  約 
 平成12年度から18年度にかけてスギ精英樹クローンの施設ざしを行い、これまでにまとめられている東北育種基本区スギ精英樹特性表を補完する形式で、データを整理した。今回、改良土を用土とした施設ざしで、新たに32クローンの発根率の評価値を提示した。このことにより、青森県内から選抜された精英樹177クローンのうち、129クローン(73%)において、施設ざしのさし木発根性評価値が公表されることになった。

 

研究テーマ
 青森県スギミニチュア採種園の一覧
要  約 
 林業試験場が平成元年から18年度までに、青森県十和田市の林業試験場十和田ほ場に造成してきたスギミニチュア採種園の概要とその現況について、今後の研究及び事業用の資料として取りまとめた。
研究テーマ
県産雑木材による木工品の開発
要  約
 木県は森林資源に恵まれているが、ヒバ・ブナなど木工芸品に利用される主要樹種は資源の枯渇などにより材料の確保は困難になっている。このような中でも小中径木広葉樹(以下「雑木」と称す)は有効利用されていないことから、その活用方法として小木工品の開発について検討した。その結果、異種材を接着したロクロ製品が有効であることがわかった。

 

研究テーマ
組子技術の改善研究(松皮菱の加工について)
要  約 
 建具の障子や欄間に使われる組子には様々な組子模様がある。松皮菱組子は木工機械での加工は困難のため手加工で行われていて、専用手工具や技術・経験を必要とする。また神社・仏閣等で使用される組子は一般住宅で使われるよりも広い場所や比較的高所に設置されるため、視覚上からも一般的な組子よりも寸法を大きくして製作することがある。
 しかし、松皮菱組子の特殊な寸法の場合でも、専用手工具は使用できないが、汎用木工機械と治具を使用すると加工が可能であることが確認できた。また松皮菱組子を活かした小家具の3DCGの作成及び試作品を製作した。

 

研究テーマ
湾曲部材を用いた研究試作
要  約 
 県では、県産材を原料とする木製品の販路拡大を図ってきており、本研究は県産材の付加価値付与と、新しい利用方法を提案する研究として、湾曲部材の特性を活かした県産材による製品開発を図る。
  平成19年度は、屋内製品としてスギ湾曲材を用いたベンチの試作品のデザイン・設計および製作を行った。

 

研究テーマ
円加工治具の開発
要  約 
 NCルータの導入以来、木工業者からの加工依頼で最も多いものが、円形の窓やテーブルを切り抜く加工で、年間15件程度ある。
 窓はガラスが入り、面縁が付くため精度が必要であり、重切削のできない手持ちの電動工具では、目違いの発生により精度は望めない、テーブルでも段差があると木端張りの際に接着不良となるため、円形の内周・外周切削を安全に、かつ高い精度での加工を可能とする治具を開発した。 

                     

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