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酒造りのチームワーク 酒造りのチームワーク

「吟烏帽⼦」の開発に⾒るチームワーク

⻘森県では古くから、酒蔵、酒⽶⽣産者、研究機関が⼀体となって優れた酒造原料を⽣み出してきました。平成30年(2018)に県の認定品種となった「吟烏帽⼦」もその⼀つです。

農業と⼯業、垣根をこえたプロフェッショナルの連携

酒⽶「吟烏帽⼦」は⻘森県産業技術センターの農林総合研究所と弘前⼯業研究所の連携から⽣まれた新品種です。それまでの⻘森県産酒⽶は耐冷性が不⼗分なため、ヤマセの影響を受けて冷夏になりやすい県南・下北地域ではなく、⽐較的温暖な津軽地域で多く栽培されていました。そこで、品種改良のプロである農林総合研究所では、⾎統よりも「寒さに強く酒⽶としても良い形質」を重視して交配。酒造のプロである弘前⼯業研究所が醸造や⾼精⽩の試験を⾏い、検討を重ねて寒さに強く、醸造にも適した品種を選び出しました。

寒さも病気も乗り越えた、美しく強い⽶

農⼯のプロがじっくり吟味した新品種は、県南・下北地域の実際の⽥んぼを使った試験栽培でも農業のプロを感動させる実⼒を発揮します。県南・下北地域といっても、⼟壌、気候、地形など、栽培条件はさまざま。吟烏帽⼦は、ヤマセの常襲地帯でも、⽔温が上がりにくい地区でも、低温と⽇照不⾜に⾒舞われた年でも、寒さや病気にまけず、堂々と実りました。

念願の「県南・下北テロワール」

冷涼な地域でもよく育ち、純⽶酒から⾼精⽩が必要な⼤吟醸酒まで、幅広い醸造適性をもつ「吟烏帽⼦」は、まさに、県南・下北地域の酒蔵が⻑年にわたって待ち望んだ酒⽶でした。各蔵では「吟烏帽⼦」の特性を⽣かしつつ、思い描くイメージにあった味わいを⽬指して醸造。酒⽶の開発者、⽣産者、酒蔵が⼀体となったことで「地元産の⽶による地酒」が⽣まれました。

前⽥⼀春

吟烏帽⼦の籾の充実を確認する、農林総合研究所・⽔稲品種開発部部⻑、前⽥⼀春(まえだかずはる)

齋藤知明

試験醸造酒のサエを確認する、弘前⼯業研究所・発酵食品開発部部長、齋藤知明(さいとうともあき)

吟烏帽子パンフレット

酒販業者

かめや酒店

「1本のお酒に込めた造り⼿の想いや物語を飲む⼈に伝えるのが酒屋の仕事だと思っています」。⻘森市役所横で昭和33年(1958)から続く「かめや酒店」3代⽬の伊藤恵(いとうめぐみ)さんは酒蔵からの信頼も厚い唎酒師(ききざけし)でもあります。壁⼀⾯に飾られた⼀升瓶が⽬を引く、セレクトショップのような店内には⻘森県の⽇本酒がずらり。ゆっくり商品を選べるように、とあまり声かけはしませんが、声をかければ気さくに応えてくれ、酒名の由来、こぼれ話、杜⽒の⼈柄など、蔵直送のエピソードが次々あふれだします。
「知名度はなくても、がんばっている酒蔵を応援したい」という伊藤さんは、各蔵の隠れた銘酒や⽣産数の少ない限定酒を積極的に取り扱っています。また、⻘森市内のほかの酒販店と「ななの会」を⽴ち上げて独⾃ブランド「七⼒(しちりき)」を開発したり、ラベルデザインのプロデュースを⾏うなど、酒蔵と共同して⻘森県の⽇本酒の魅⼒の発信やファンの裾野を広げる活動も⾏っています。「今は若い⼈の間でも⽇本酒好きが増えているんです。消費者側の⽴場で、こうしたら、ああしたら⼿にとってもらいやすいんじゃないか、って考えるのが楽しいですね」。

*かめや酒店*
住所/⻘森市中央⼀丁⽬26-22
電話番号/☎017-735-1620
営業時間/平⽇8:00〜19:30、
⼟曜⽇9:00〜18:30
定休⽇/⽇曜⽇
かめや酒店ホームページ
FacebookInstagram もございます。

「かめや酒店」3代⽬の伊藤恵さん、⺟の⼯藤幸⼦さん

「かめや酒店」3代⽬の伊藤恵さん、⺟の⼯藤幸⼦さん

珍しい銘柄の⻘森県産酒がずらりと並ぶ店内

珍しい銘柄の⻘森県産酒がずらりと並ぶ店内

「かめや酒店」外観

「かめや酒店」外観

佐々⽊ツル酒店

「⾃分たちで味⾒して、おいしいって納得したお酒を最⾼の状態で販売しています」。陸奥鶴⽥駅(むつつるだえき)ほど近くに店を構える「佐々⽊ツル酒店」の⼥将で、唎酒師や⽇本酒品質鑑定⼠の資格を持つ佐々⽊直美(ささきなおみ)さんが案内してくれたのは、少し薄暗く、ひんやりした保管庫。この「クールラップ」と呼ばれる設備と冷蔵ショーケースによって酒質にあったベストな状態での保存を可能にしています。
昭和21年(1946)に創業した佐々⽊ツル酒店が⻘森県の⽇本酒に⼒を⼊れたのは、3代⽬店主で直美さんの夫・崇博(たかひろ)さんの代から。当時の⻘森県では有名銘柄酒が好まれていましたが、崇博さんは県産酒の品ぞろえを増やしたり、イベントを主催するなど精⼒的な活動でファンを増やしてきました。そうした取り組みや徹底した品質へのこだわりが酒蔵と深い信頼関係を築き、確かな品質を約束しています。今では地元はもちろん、県内外、遠くは海外からもお客さんが訪れ、直美さんとの会話も楽しみながらお⽬当ての1本を買い求めています。「酒づくりでのエピソードだとか、うんちくを知ってから飲むと、よりおいしく感じるよね。⾷べ物によってもお酒の味わいは変わるから、合わせる料理とかも相談してみて!」

*佐々⽊ツル酒店*
住所/鶴⽥町鶴⽥字早瀬122-4
電話番号/☎0173-22-3745
営業時間/9:30〜19:30
定休⽇/第3⽇曜⽇

「佐々⽊ツル酒店」⼥将、佐々⽊直美さん

「佐々⽊ツル酒店」⼥将、佐々⽊直美さん

温度と湿度を⼀定に保つことのできる「クールラップ」

温度と湿度を⼀定に保つことのできる「クールラップ」

「佐々⽊ツル酒店」外観

「佐々⽊ツル酒店」外観