ホタテガイの外敵
 海の中にはホタテガイの天敵がいます。ここでは、そのうちの特にホタテガイに害を与えるものを紹介します。
ヒトデ
【ヒトデによる食害】
 ヒトデの多くは貝や魚を食べる肉食性で、さまざまな海の生き物が被害にあっています。陸奥湾にはキヒトデ、ニッポンヒトデ、イトマキヒトデ、ニチリンヒトデなど何種類かのヒトデがいますが、キヒトデやニッポンヒトデは、海底に生息しているホタテガイを食べたり、養殖の篭に入り込んで食べてしまったりもします。また、ホタテガイ採苗器に付着してホタテの稚貝も食べるので、漁業者には嫌われていて駆除されています。
キヒトデ ニッポンヒトデ
一般的にヒトデと呼ばれているものがこれです。

中央にあるオレンジ色の点と白っぽいトゲが特徴です。

【体の特徴】
 ヒトデの口は体のうら側の真ん中にあり、肛門は背中側にありますが、排泄物は口から出すことが多く、肛門はあまり使われません。ものを食べるときはまず胃をからだの外に出し、相手を消化してからまた胃を元に戻します。移動するときは、管足という管状のものを使います。

ヒトデの卵。見かけはウニに似ていますが、食べると舌がしびれます。

【名前の由来】
 形が人の手に似ているためと言われていて、浜ではヤスデと呼ばれています。
ウミセミ

【ウミセミによる食害】
 ウミセミはホタテガイ養殖の採苗器に入り込み、ホタテガイの稚貝を殻ごと食べてしまいます。1匹あたり1日平均で約100〜200個を食べることが飼育試験からわかりました。このほか、養殖ワカメを食べるという報告もあります。

ウミセミ成体。

【体の特徴】
  体調はオスで約20mm前後、メスでは12mm前後で、セミのような外見をしています。生まれたばかりの子供(幼体)は1〜2mm以下で、えびやかにの仲間なので脱皮を繰り返して成体になります。つかむとダンゴムシのように丸くなります。腹を上にして背泳ぎのようにして水中を移動し、には鋭い歯があります。

ウミセミ幼生。

【名前の由来】
 陸奥湾に大量に見られる種類は正式な名前をニホンコツブムシといいますが、その外観がセミに似ていることからウミセミと呼ばれています。
ホタテエラカザリ

【鰓への寄生】
 ホタテエラカザリは、ホタテガイやアカザラガイなどイタヤガイ科の二枚貝に見られる寄生虫です。鰓に寄生し、ホタテの血液を吸って生きていますが、寄生数が少なければあまり害はありません。

写真中央に見えるオレンジ色のものがホタテエラカザリ。

【体の特徴】
 メスは平柿形で体側部は花びらのように5葉に分かれていて、大きさは最大で体幅8mm、最小だと2mm未満です。ホタテガイの鰓から血を吸うときは、鰓の柄部と口をつなげて吸います。オスは大豆形をしていて、370〜500μmで、メスのからだの中に1個〜数個すんでいます。オスが何を食べているのかははっきりとはわかっていません。

【名前の由来】
 ホタテエラカザリは学名をPectenophilus ornatus といい、Pectenophilusは「ホタテガイを愛するもの」、ornatusは「鮮やかな体色」を意味します。和名のホタテエラカザリは、ホタテガイの鰓を飾る美しい寄生虫であることから名づけられました。

【食べても大丈夫?】
 ホタテガイの殻をとると、鰓にいくつかついているのが見られることがありますが、基本的には食べても害はありません。ですが、気になる場合は取ってください。

ポリドラ

【貝殻への穿孔】

 ポリドラは浜ではハリトオシなどと呼ばれていますが、その名のとおり貝殻に針を通すように穴を開けて住みつきます。これを穿孔(せんこう)といいます。ポリドラが穿孔すると貝殻の内側が黒っぽく変色し、数が多くひどくなると穴が開いてしまうこともあるので、貝の見た目が悪くなってしまいます。しかし、ポリドラがホタテガイの軟体部を食害するということはありません。ポリドラはホタテガイの貝殻を住みかとしているようです。
体前部に2本の触手がある。これが穿孔すると・・・ 黒っぽい点に見えるのがポリドラが穿孔したあと。

【体の特徴】

 体長1.5〜33mm、体幅は最大で1.6mmです。雌雄異体で、主な産卵は夏から秋にかけて行なわれます。卵は貝殻に産み付けられ、幼生は遊泳生活を送り、冬になるとホタテガイへ穿孔し始めます。体前部に2本の触手があり、これを海中に漂わせて海水中の懸濁物をとって食べています。

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