2025.6.26
ホタテガイ採苗速報 令和7年度 第11号
稚貝採取は1分5厘で西湾は採取可能、東湾は来週前半から、2分で西湾は来週前半、東湾は再来週前半から開始の見込み
平年より殻長が大きいので早めに作業を始めましょう
1 ホタテガイの付着状況
6月20~25日に行った第2回全湾付着稚貝調査結果は図1~3および別表のとおりです。ホタテガイ稚貝の平均付着数(間引き後)は、西湾で20,238個/袋、東湾で33,477個/袋と、それぞれの平年値(過去10年の平均値)38,107個/袋、33,712個/袋と比べて西湾では少なく、東湾ではほぼ同じ状況です。
稚貝の平均殻長(間引き後)は、西湾で4.46mm、東湾で3.28mmとそれぞれの平年値2.97mm、2.43mmより大きい状況です。
2 ムラサキイガイ等の付着状況
ムラサキイガイの付着数(間引き後)は、全湾平均で24,716個/袋と平年値10,959個/袋より多く、キヌマトイガイは、全湾平均で6,429個/袋と平年値11,265個/袋より少なくなっています。
3 今後の見込み
1分5厘のネットに稚貝採取する場合、西湾では既に採取が可能で、東湾では来週前半から開始できる見込みです。
また、2分のネットに稚貝採取する場合、西湾で来週前半、東湾で再来週前半から開始できる見込みです。
ただし、付着数や今後の水温の動向によって成長に差が生じるので、稚貝の成育状況を見ながら作業を進めてください。
なお、平年より稚貝のサイズが大きく、ムラサキイガイの付着も多いこと、また夏季高水温の危険性も踏まえて、早めに稚貝採取を始めて、体力のある貝をつくりましょう。
4 お知らせ
東湾で殻長の小さい地区については、7月7日基準日に第2回臨時付着稚貝調査(間引き後の中層1袋)を実施し、7月10日発行予定の採苗速報第12号に掲載しますので、参考にしてください。
5 稚貝採取時の注意事項
(1) 稚貝を大切に扱いましょう。
○作業は早朝の涼しい時間帯に行い、タライや水槽の水温が上がらないように、シート等で直射日光を防ぎましょう。
○高水温時にはタライや水槽の水は出来るだけ深い水深帯から汲み上げるようにしましょう。水温上昇や酸欠で稚貝が死んだり、成長不良になる危険性があるので、タライや水槽の水はかけ流しにするか頻繁に交換しましょう。
○稚貝は、海水温が26℃を超えるとへい死の危険性が高くなります。海水温を計ったり、海況自動観測ブイならびに水温自動観測ブイの水温(1ページのURL、QRコード)を参考にしながら表層の水温が26℃を超す日は稚貝採取をしないでください。
○稚貝は乾燥にも弱いので、手早く作業を行いましょう。
○稚貝採取が遅くなるほどムラサキイガイが成長し、ホタテガイ稚貝とくっつきやすくなり、作業効率が悪くなるので注意しましょう。
○採苗器内の稚貝は成長や水温上昇に伴い、袋の下に落ちて溜り、異常貝率やへい死率が高くなるので、稚貝採取は早めに完了しましょう。
(2) 適正保有数、適正収容数を守りましょう。
○稚貝採取では決められた保有数を守りましょう。
○パールネット1段当たりの収容数を適正にしましょう。稚貝の過密収容は、異常貝の増加や、餌料環境の悪化につながります。高水温で稚貝分散が遅れることや餌不足に備えて、特に分散が遅れる可能性があるパールネットには、稚貝を少なめ(50~100枚/段)に入れましょう。
(3) 採取後の管理に気をつけましょう。
○採取後の稚貝が足糸でネットに付着しているかどうか見ながら作業を進めましょう。
○水深が浅いほど水温は高く、潮も速いので、採取後は施設を中層以深に沈めましょう。ただし、稚貝は23℃まで成長することと、底層は餌が少ないことを考慮して、沈めるタイミングに注意しましょう。
○立ちきり(土俵)やオモリをつけて、施設やネットを安定させましょう。
○採取後も一部の採苗器を残しましょう。
○余剰貝は融通し合いましょう。