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太平洋海域

 夏場も沖合に居座る親潮を吹き渡る冷涼な東風(ヤマセ)の影響により夏場も水温は20℃を越すことは稀である。本海域に分布する暖海性魚類には日本海経由で南下してくるものと、これとは逆に太平洋南部海域から黒潮経由で北上してくるものとがあるものと考えられる。それらを厳密に区別することは至難である。

 ここでは、その分布が日本海に見られず、太平洋沿岸で北限と考えられるものについて見てみる。

 これらはナガヘラザメ、ジンベエザメ、ツマリツノザメ、シノノメサカタザメ、クロカスベ、カライワシ、クロアナゴ、ノコバウナギ、フクロウナギ、イシカワシラウオ、ミズヒキイワシ、オニイワシ、ナガムネエソ、トガリムネエソ、ワニトカゲギス、ヨロイホシエソ、クロトカゲギス、ホウキボシエソ、アオメエソ、デメエソ、ドングリハダカ、マガリハダカ、ブタハダカ、ハダカイワシ、サヨリトビウオ、サギフエ、カラスダラ、バケダラ、ムグラヒゲ、ゴマフイザリウオ、アカグツ、ワカタカユメソコグツ、テンガイハタ、シマアジ、ヤエギス、コイチ、クロメジナ、キチヌ、トゲチョウチョウウオ、マカジキ、クロカジキ、スマ、アマシイラ、クロタチカマス、ニザダイ、テングハギ、ドクウロコイボダイ、ウケグチメバル、キホウボウ、コンゴウフグなど。

 

写真 ココノホシギンザメ

太平洋深海底曵. 地方名ウサギとはよくつけたものである.






写真 ヒモダラ

太平洋深海底曵. 本科魚類は種類が多いが有用種は少ない.




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 前述したように、本海域に分布する深海魚は108種にも上り総種数の4分の1にも達する。本海域の北限の魚類は日本海域とは異なり、圧倒的に深海魚成分の占める割合が高くなっている。
 
 ちなみに、深海とは通常水深
200m以深の海域を指すが、ここでは漁業活動が行なわれていない水深400m以深の海域とした。太平洋沖合水深500-1,000m海域の魚類については県水産試験場が昭和50年代に行なった太平洋深海漁場開発試験によってその概要が知られている。

 ここでの、北限の魚類に占める深海魚の割合は6割余に達しており、日本海域では殆どみられないのとは好対照を示している。これほど深海魚の占める割合が多いのは、やはり広大な太平洋深海魚群集の豊かさを示すとともに、深海魚においてもオホーツク海由来の寒冷な水塊が道東海域にまで分布を広げることを阻止している結果と考えられる。海峡東部海域とは魚類相に深海魚成分を多く持つことの他は同様であり冷温帯とされる。



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