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水産上重要な魚類 (5)    ダツ目 トゲウオ目

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 ダツ目
 サンマ科
 
 サンマ
 本県沖合を産卵回遊のため道東海域から南下回遊してくるものを棒受網で漁獲するもので、八戸に水揚げされるものは年間1-2千ト ンに達する。本県沿岸では漁場が形成されず遥か沖合を通過するのみである。
 産卵場は遠く四国・九州であり、道東〜三陸ものではまだタップリと脂が乗っており、秋の味覚の代表的なものとなる。昔は塩焼きが定番であったが、近年、刺身やシメサバならぬシメサンマが好まれている。
 昭和30年代には本県日本海沖合の流れ藻に産卵する群が5-6月に多数来遊したものであ るが、この群が姿を消して久しく、太平洋系群の独壇場である。



 サヨリ科

 サヨリ
 夏の川口では5-10cmに育ったサヨリの幼魚が水面を行列を組んで涼しげに泳ぎ回っているのがよく見かけられる。下顎が頭長大に長く伸び、その先端は口紅を塗った様に紅い。すらりとした上品な姿で、大きなものは全長30cmを越す。刺身に造ると、体側中央部に青味がかった黒い縞がくっきりと入り、銀白色に光る肌との対照が美しく、見た目にも涼感を呼ぶ。まさに夏の魚である。
 県内では昔は陸奥湾でサヨリの二艘曳漁法があり、盛んに漁獲したものであったが、今は廃れて久しい。現在、主産地は何と、小川原湖の高瀬川である。毎春、産卵群が大挙して沼に入ってくる。これを、刺網で獲るが、年間数十トンに上る漁獲がある。



 トビウオ科

 トビウオ類
 数種を含む。一般的にはツクシトビウオホソトビウオと思われる。初夏から盛夏の候、大挙して産卵のため北上してきた群を定置網で漁獲する。昔、大間でマグロ漁が盛んな頃はトビウオを餌にして曳釣したものである。長く伸びた胸鰭を針金で左右にピンと張った形にして用いた。トビウオがやって来ると、同時にシイラが餌として追いかけてくる。盆頃までの漁である。
 茂浦の海では8月頃、南西の風が吹いた後、多数の浮遊物の中にトビウオ類、シイラ、ブリなどの稚魚が紛れ込んでいることがある。トビウオ類は稚魚期のみ下顎に多様な形態のヒゲを蓄えているものが多い。2cm前後のものであるが既に立派な長い胸鰭と腹鰭を持っており丁度アメンボのように鰭を左右に拡げたままで活発な動きをしない。しかし、驚かすと数cmの距離を飛び跳ねることが出来る。鰭を含めた体全体の色調には個体差が著しく黒から黄褐色まで変異に富む。
 あまり市場に出回らないが、湾内の定置網でも結構混獲される。刺身に作った色調が涼しく夏向きである。塩焼きも良い。山陰地方ではトビウオで作ったアゴ竹輪が有名である。
 地方名:トビウオ(一般)、トビオ(北金ケ沢、茂浦)、トビヨ(八戸)



 トゲウオ目
 シワイカナゴ科

 シワイカナゴ
 陸奥湾でカラハシ(唐箸?)と呼ばれるもので、全長10cmに満たない小魚である。5月頃、ホンダワラなどの藻が生えた岩礁域に産卵群が大挙してやって来る。藻に粘着卵を産みつけるためである。
 体色は黄褐色で、喉の部分に黒斑がある。そのため、脇野沢ではアズキガラ(小豆殻)の地方名がある。
 何ほどの漁獲もないが、平内町では春の風物詩の様であるが最近は漁も食べる習慣も廃れてきた様である。
 昔は名前の通り、分類上スズキ目イカナゴ科としていたが、これは全くの誤りでトゲウオ目に移籍された。





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