アンコウ目
アンコウ科
キアンコウ
本県で市場に出るものはほとんどキアンコウである。類似種の
アンコウと比べて尾部が長いことにより容易に識別出来る。
5-6月、センター前の筏周辺に本種の卵塊 が漂着することがある。多くは波浪の影響で細切れになりかかったものであるが、幅1尺ほどの長い寒天質に包まれた卵塊で6角形の蜂の巣のような卵膜の構造をしており中に胚体が動き廻っているのがわかる。陸岸近くで採集されるものの殆どは孵化間近のものである。西海岸では薄い帯のような形態で長いものであることからシャクシロ(ウ)(百尋)という。褌よりも長いということの誇張した表現であろう。
キアンコウの卵塊から孵化した全長6mmほどの仔魚を飼育してみたことがある。背鰭第1条と腹鰭条が長く突き出し、特に腹鰭は頭長の倍ほどの長い鰭条となっており、孵化したばかりでは水面近くをゆったりと漂っているが日が経つに連れ水槽の底部に移動し、腹鰭をまるで杖のように支えとして殆ど動かなくなる。ワムシ、アルテミア等を与えたが殆ど摂餌せず1週間程で斃死した。何とも変わった習性があるようである。
厳冬期に底曳で漁獲されたものがアンコウ鍋、アンコウの共和えとして賞味される。5月頃産卵の為浅場にやって来たものでは問題にならない程味が落ちる。
地方名:アンコ(ウ)(一般)、ゲロ(鰺ケ沢)
キンメダイ目
イットウダイ科
エビスダイ
体はどこまでも鮮赤紅色であり、具足のような堅固な鱗に包まれる。この仲間では、最も北方域に進出しているものであるが、採集記録は少ない。それでも、今別、陸奥湾から大畑、角ノ浜まで。あまりに見事な形態であり、大黒様が釣り上げた魚はマダイではなくこの魚ではなかったかと疑いたくなる。
肉は白身で美味。
アカマンボウ科
アカマンボウ
マグロ延縄で混獲されるもので、外洋表層性である。全長2mに達する。体は強く側偏し、各鰭は紅い。胸鰭は普通水平に使うものであるが、本種ではその基底が水平となっており上下に動かす所が特異である。肉色も淡紅色で刺身、焼き物とする。
地方名:キンタイ、マンダイ(八戸)
マトウダイ目
マトウダイ科
マトウダイ・
カガミダイ
体は著しく側編し、口が前方に突き出せる構造となっている。両種とも底曳で混獲されるが珍しい位である。
欧州ではサン・ペテロの魚と呼ばれる。聖書にキリストの使徒聖ペトロがこの魚の口から金貨を取り出して貧しい人達に与えたという記述があり、この時、ペテロが魚をつかんだ指の跡が黒斑として残ったといわれる。その為に西欧ではこの仲間を重宝する。これに比べれば日本での扱いはあまり宜しくない。
カガミダイにはこの黒斑はない。
マトウダイは白身で刺身、鍋料理に良い。
地方名:カネタタキ(深浦)、ベエベエ、マトヨ(八戸)、両種を区別せずカガミダイ(一般)
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