華想い(はなおもい)

~ 青森の酒造好適米と吟醸・大吟醸酒 ~

しゃしん はなおもいのすいでん はいけいにいわきさん

 

研究所、農家、酒蔵、販売店、「皆の想い」が一体となって生まれた「米と酒」!

「華想い」の母は酒米の最高峰「山田錦」、父は良質な酒米で寒冷地適応性の「華吹雪」。
青森県農業試験場(現農林総合研究所)が1987年に交配し、栽培農家の協力も得て、青森県に適した栽培特性と吟醸・大吟醸に向く酒造適性を合せ持つ品種を育成しました。

「山田錦」に匹敵する40%の高度精米が可能で、2002年に青森県工業試験場(現弘前工業研究所)で醸造試験を開始し、すぐに県内酒造メーカーも開発に参画しました。その味は「クリアな中にふくらみがあり、余韻が深い」との評価! 2003年秋に青森県オリジナルブランドの高級酒「華想い」が、県内18社20蔵からデビューしました。
原料米の「華想い」は全量契約栽培! 農家と県酒造組合が参加する「ほ場巡視会」等で課題を話し合い、高い品質で生産しています。また、清酒「華想い」の表示には認定制度があり、弘前工業研究所の研究員と酒造組合の技術員が「認定試飲会」の審査員となって、品質の高さを守っています。そのうえで、麹や酵母など酒造りの工夫や個性は尊重されているので、酒蔵ごとの「華想い」を楽しむことができます。
各蔵の「華想い飲み比べ」も、きっとお楽しみいただけます。

 

各酒蔵の華想いの酒10種類の写真

 

<各酒蔵からデビューした華想い>

写真はデビュー当時の華想いです。左から、六花酒造、カネタ玉田酒造、菊駒酒造、竹浪酒造店、八戸酒類五戸工場、鳴海醸造店、桃川、鳩正宗、盛田庄兵衛、八戸酒類八鶴工場から発売された「華想い」の吟醸酒や大吟醸酒です。他にも、関乃井、八戸酒造、西田酒造、中村亀吉、丸竹酒造、三浦酒造、松緑酒造、白神酒造、尾崎酒造から「華想い」が発売されています。
詳しくは「あおもり日本酒テロワール」もご覧ください)。

青森産の日本酒の魅力を紹介「あおもり日本酒テロワール」へのリンクはこちら→

あおもり日本酒テロワール 

 

華想いの系譜図 酒米の心白

 

青森県の酒造好適米の開発は1959年に始まり、1968年の「古城錦」、1976年の「豊盃」に続き、後に「華想い」の父となる「華吹雪」は1986年に市場デビューしました。
青森県の気象に適した良質な酒米として酒造りを支えた「華吹雪」ですが、吟醸や大吟醸などの高級酒には「山田錦(兵庫県)」や「五百万石(新潟県)」など県外産のお米が使われていました。
「磨き」ともいわれる酒造りの精米では、お米の表層をご飯用の精米のときより多く削り、「雑味」の基となる脂質やたんぱく質を取り除きます。精米歩合は、吟醸酒で60%以下、大吟醸酒で50%以下、と国税庁により定められています。因みに、玄米100キロを精米して白米60キロにすると精米歩合60%です。どの程度まで精米できるかは、お米の中心にある心白の形状によります。心白が大きくて中心から外れがちな「華吹雪」は高精白(高精米)すると砕けやすく、吟醸・大吟醸には不向きでした。

「山田錦」に匹敵する県産米が欲しいとの酒造関係者の要望を受け、青森県農業試験場(現農林総合研究所)では1987年に「山田錦」と「華吹雪」を交配親として育成試験を開始しました。
しかし、晩生で稲が倒れやすく、いもち病に弱いなど青森の気象条件での栽培を難しくする「山田錦」由来の性質が残り、これを改善しようと「華吹雪」を繰り返し交配すると酒造適性が下がるなど、目標個体の選抜は困難を極めました。
試験は1989年に一時中断、1994年に再開し、心白の形状に着目し1系統200粒ずつお米を割って心白の形状を評価するなど労力をかけた特別な方法で選抜を進め、2002年の品種登録出願に至りました。
難産の末、優れた栽培特性(「山田錦」より寒さに強く、稲が倒れにくい)と酒造適性(「山田錦」に匹敵する40%の高度精米が可能)を合せ持つ品種「華想い」が誕生しました。
 

 

華想いの稲株、籾、玄米