H14年度研究成果

 平成14年度研究成果 

研究テーマ
 BAPペーストによるクロマツ雌性花序誘導試験
要  約 
 クロマツの雌性花序増産を目的にBAPペースト処理によるクロマツ雌性花序誘導試験を行った。
BAPペーストの濃度は、広島県でクロマツ雌性花序誘導に効果が確認されている1,000mg/1とした。
処理日を変え、3回処理を行ったうちで、9月7日に処理した4クローン全てに雌性花序の着生がみられ、着生個数は1処理枝あたり平均11.2個と非常に高い効果がみられたことから、本県におけるBAPによるクロマツ雌性花序誘導効果が確認された。雌性花序着生量についてクローン間差を調べたところ、クローン間で有意な差が確認された。また、処理枝の方位について調べたところ、方位による雌性花序着生数に差はみられなかった。

 

研究テーマ
 里山広葉樹林の生物多様性調査(第1報)
-トラップを使用した昆虫の調査手法について-
要  約 
 里山広葉樹林の昆虫多様性調査に適したトラップを選択するため、白色、黄色、黒色の衝突板式トラップとマレーズトラップを使用して調査を行い、捕獲された昆虫の科や種及び個体数を比較した結果、衝突板式トラップは、トラップの色により捕獲された昆虫の科や種に特徴が見られた。
 また、衝突板式トラップとマレーズトラップの比較では、マレーズトラップの方が捕獲された昆虫の科や種数が多く、昆虫全般の調査に適当と思われた。
 しかし、特定の指標種や昆虫の目・科を定めて調査する場合には、捕獲される昆虫に特徴が見られる等、衝突板式トラップにも利点がある。また、マレーズトラップで捕獲されない種類もあることから、各種の衝突板式トラップとマレーズトラップの併用による調査が適当と考えられる。

 

研究テーマ
  ヒバ等主要造林樹種の苗木並びに複層林下層木ヒバに対するブラシノライドの生長促進効果について
要  約 
 植物ホルモンの一種であるブラシノライドを主要造林樹種の苗木並びに複層林下層木ヒバに散布し、その生長促進効果について検討した。
 青森県の主要造林樹種である、ヒバ、スギ、クロマツ及びアカマツの1年生苗並びに2年生苗に濃度10-6ppmから10-4ppmのブラシノライド溶液を1回若しくは2回散布したが、生長促進効果はみられなかった。また、複層林下層木ヒバの枝葉に、10-4ppmブラシノライド溶液を2回散布したが、生長促進効果はみられなかった。
 

 

研究テーマ
 鶏卵殻乾燥粉末を利用したきのこ菌床栽培試験(第2報)
-ヒラタケ・マイタケ菌床栽培での検討-
要  約 
 鶏卵殻乾燥粉末を利用したヒラタケ・マイタケ菌床栽培試験を行い、ヒラタケヘの最適添加量の検討、マイタケヘの鶏卵殻乾燥粉末の添加効果について試験した。また、両きのこ栽培中の培地pHの変化を測定し、鶏卵殻乾燥粉末の影響について調査した。また、鶏卵殻乾燥粉末は炭酸カルシウムが主成分であり、添加培地で発生した子実体中のカルシウム含有量に増収効果がみられるかどうか検討した。菌が培地全体にまわる日数、収穫までの日数、子実体発生量について検討した結果、ヒラタケでは、培地乾重量の5~10%置換が最適であると考えられた。マイタケでは、鶏卵殻乾燥粉末置換区での、子実体発生量は増加せず、菌が培地全体にまわる日数では、無置換区よりも遅くなった。収穫までの日数では、鶏卵殻乾燥粉末置換区で短縮された。子実体中のカルシウム含有量は、ヒラタケでは、置換率10%までの試験区の子実体が置換量の増加につれて、多くなる傾向を示したが、分散分析の結果、有意差はみられなかった。マイタケでは、置換量が増加しても、子実体中のカルシウム量は変化しなかった。

 

研究テーマ
 県産スギ材の低コスト乾燥試験(第1報)
-スギ芯持柱材背割り加工よる試験-
要  約 
 スギ芯持ち柱材に一面背割り加工を施し、「天然乾燥と人工乾燥の組み合わせ」による方法と「人工乾燥のみ」の試験を行った。人工乾燥終了後、全乾法により含水率を測定した結果、前者によるものの平均含水率が11.1%、後者の平均含水率は12.3%と、「天然乾燥と人工乾燥の組み合わせ」によるものが「人工乾燥のみ」の乾燥より1%ほど含水率が下回る結果となった。
 また、人工乾燥日数も「天然乾燥と人工乾燥の組み合わせ」による方法が11日間、「人工乾燥のみ」は15日間と、前者の方が4日間短縮された。

 

研究テーマ
六ケ所村で発見されたイヌザクラについて
要  約 
 イヌザクラ(Prunus buergeriana Miquel)は青森県が北限になっており、三沢市の姉沼、仏沼など小川原湖周辺に点状に散在して自生地があるがそれ以北については記録がない。
 青森営林局・秋田営林局編集の東北の樹木誌によると、青森県内での分布は上北地方(三八地方も含む)になっており、津軽地方や下北地方には分布していない。
 平成14年の6月3日、小川原湖の北端に位置する六ケ所村唐貝地の生活環境保全林で広葉樹林の調査を行っていたところ、林内に自生しているイヌザクラを発見した。
 図鑑には、落葉小高木で高さ10mに達すると書いてあるが、この個体は幹周り147cm、樹高14.5mあり、イヌザクラとしては大きなものと思われる。
 ハ戸市在住の植物研究家、根市益三氏によると、未発表であるが、三八地方や上北地方のほかに、むつ市周辺で自生を確認している。しかし、三八地方以外では、大きい個体を確認していないということである。
 唐貝地の生活環境保全林で発見されたのは、この一個体のみだが、北限近くに生育する高木として、保護すべき貴重なものと思われるので報告する。
 なお、平成15年に開花時期を調査したところ、ウワミズザクラより一週間~10日ほど遅く、5月末に開花した。 

                  

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