H16年度研究成果

 平成16年度研究成果

研究テーマ
ヒバのジベレリン処理による着花結実促進効果の検討(Ⅱ)
要  約 
 ヒバミニチュア採種園において、毎年7月中旬に濃度300ppmのジベレリン水溶液を葉面散布により、同一採種園から2年連続で種子を生産し、また同園から3年連続で種子生産の可能性が示唆された。また、現在造成している精英樹等から構成される行間1.5m、列間1.5m、断幹高1.5mに調整したミニチュア採種園からは、将来的に0.1ha当たり14㎏の種子が生産できる可能性が示唆された。なお、球果の採取にあたっては、翌年度の花芽の減少を防止するために、人手で枝から球果のみをもぎ取った。ジベレリン処理によりミニチュア採種園産の種子は、発芽率は20%以上あり、天然林から採取した種子の発芽率以上あり、苗木生産事業者に配布できる良好な種子であった。

 

研究テーマ
里山広葉樹林の生物多様性調査(Ⅲ) 
   -トラップを使用した昆虫の調査手法について-
要  約 
 昆虫多様性調査に適したトラップの選択と、その調査方法を明らかにするために、平成16年度は山地広葉樹林に黒色と白色の衝突板式トラップとマレーズトラップを設置して、捕獲された甲虫目及びカミキリムシ科の科や種及び個体数を調査した。その結果、カミキリムシでは、14・15年度に行った里山広葉樹林の調査でほとんど捕獲出来なかった山地を表徴する種が得られた。また、マレーズトラップを1林分に2基ずつ設定したところ、各トラップで捕獲できた甲虫の種数や個体数に非常に差があったことから、今後は林分内に複数基のマレーズトラップを設置して調査・検討することが望ましいものと思われた。トラップの使用方法について、カミキリムシ科のハナカミキリ亜科では、白色の衝突板トラップやマレーズトラップを使用し、5月中・下旬から梅雨入り前までの短期間調査することにより、林分ごとの種構成を把握することが可能と思われた。また、カミキリ亜科のトラカミキリ族も表徴的なグループであり、白色と黒色の衝突板トラップの併用が適しているものと思われたが、種構成を把握するためには、春期から夏期までの長期間の調査が必要である。 
研究テーマ
スギ・ヒバ複合大断面集成材の開発(Ⅰ)
-JAS基準との適合性について-
 要  約
 付加価値の高い構造用材を開発するため、スギ材とヒバ材とを積層した大断面集成材(スギ・ヒバ複合大断面集成材)を製造し、構造用集成材の日本農林規格(JAS)に定める基準との適合性を調査した。その結果、今回行った試験において、ほとんどJAS基準を満たすことがわかった。 

 

研究テーマ
廃木材の再資源化に関する研究 (スギ間伐材を利用した植生基盤の開発)
 要  約
 スギ間伐材の粉砕物を主原料として接着剤7%を添加した植生基盤の吸水試験、土壌硬度の測定、圧縮強度試験、播種試験を行った。その結果、24時間浸漬によって含水率が約200%となること、部分圧縮強さD,よ)は、気乾状態では0.45MPa、含水率150%では0.18MPaであること、含水率150%での状態を山中式土壌硬度計で測定すると、目盛りで19mm~22mm、圧力換算で0.49MPaであること等が分かった。また、栽培試験では西洋芝とセダム共に生育は良好であり、一冬を越した現在も観察は継続中である。 

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