畑園試だよりNo.11



 
 
平成17年度主要成果(夏作物関係)

 後期試験成績検討会が平成17年12月19日、20日に開催されました。全農青森県本部、農協、県の関係機関などの参集を得て、夏作物関係の試験成績92課題を検討しました。
 ここでは、得られた成果の中から主要なものを紹介します。

平成17年 後期試験成績検討会




ベンダゾン液剤(大豆バサグラン液剤)の除草効果と薬害程度

  ベンタゾン液剤(大豆バサグラン液剤)は、だいずの畑地1年生広葉雑草防除剤として平成17年4月に登録されました。しかし、同剤は、品種によって薬害程度が異なるが、本県での試験事例が少なく、生産指導に支障をきたしていました。
 このため、除草効果及び主要品種(「おおすず」、「オクシロメ」)に対する薬害等について検討し、次のような結果が得られました。

1.除草効果
  除草効果は、雑草の草丈10㎝以下で薬剤処理をすると高い。
さらに、は種後の土壌処理剤と組み合わせることで除草効果が高まる。
なお、雑草の草丈15㎝以上での薬剤処理は、除草効果を著しく低下させる。

2.薬害と収量に及ぼす影響
(1)だいず2~3葉期処理
ア.おおすず  
    処理後2~3日頃から、褐変、黄化、縮葉が見られ、ひどい場合には上位葉が枯死する。
    処理後の草丈、主茎長は、2週間後では20%程度抑制されるが、1ヶ月程度でほぼ回復する。
    減収は5~7%程度と、減収割合が軽微である。
  イ.オクシロメ
    処理後2~3日頃から、褐変、黄化、縮葉が見られ、ひどい場合には上位葉が枯死する。薬害の程度は「おおすず」より大きい。
    処理後の草丈、主茎長は、2週間後では20~30%程度抑制されるが、1ヶ月程度でほぼ回復する。
    減収は15~20%程度と、減収割合が大きい。
(2)だいず5~6葉期処理
   「おおすず」、「オクシロメ」とも処理後4~5日頃から、色抜け、縮葉が見られるが、2~3葉期処理の薬害ほどひどくなく、処理後の生育には影響しない。
   両品種とも減収は認められない。

写真1 おおすず2~3葉期処理の
薬害程度(処理5日後 17/7/4)
写真2 おおすず2~3葉期処理の
回復程度(処理33日後 17/8/1)
写真3 オクシロメ2~3葉期処理の
 薬害程度(処理5日後 17/7/4)
写真4 オクシロメ2~3葉期処理の
回復程度(処理33日後 17/8/1)

 (栽培部 木村技師)



えだまめ「あおもり福丸」の作型別好適栽植様式

  当場が育成したえだまめ品種「あおもり福丸(平成13年品種登録)」は、良食味の早生えだまめとして県内での栽培面積が増加していますが、同時期に育成した「あおもり豊丸」や在来種の「毛豆」に比べると収量が低いことが欠点となっています。そこで、「あおもり福丸」について、作型別に適した栽植様式を検討した結果を紹介します。
 なお、試験の中でマルチ栽培した作型では、規格品のマルチを2種類用意し、密植(うね幅100cm、株間15cm、1うね2条、条間45cm(栽植本数1,333本))と、疎植(うね幅100cm、株間24cm、1うね2条、条間45cm(同833本))を用いて比較しました。その結果、「あおもり福丸」の特性として、密植にすることや生育温度を高めることにより着莢数が多くなることが明らかとなりました。具体的な結果は、以下にまとめました。

1.7月後半どりを目指した4月下旬移植・トンネル・マルチ栽培では、密植にすることで収量が高まりました。
2.8月前半どりを目指した4月下旬直播・トンネル・マルチ栽培では、両者の収量差は小さく、密植の効果はあまりありませんでした。
3.8月後半どりを目指した5月上旬直播栽培では、マルチを使用し保温に努め、かつ密植にすることで収量が高まりました。
4.9月後半どりを目指した6月中旬直播栽培では、生育時期が夏の暑い時期になるため、マルチによる増収効果は5月上旬直播栽培ほど高くはありませんが、マルチ栽培する場合でも露地栽培する場合でも密植にすることで収量が高まりました。

図 「あおもり福丸」の作型別上物収量
   注)マ:マルチ栽培、露:露地栽培
写真 トンネル・マルチ栽培

 (作物改良部 前嶋技師)



県南地域における環境負荷を低減するために肥効調整型肥料を利用したねぎ減肥栽培

 県南のねぎ主産地では肥効調整型肥料入り肥料を全面施用と追肥を3回行う栽培が慣行化しています。一方、肥料や堆肥から発生する硝酸が地下水を汚染していることが明らかになり、必要以上の肥料や堆肥を施用しないことが求められています。そこで、施肥窒素量を慣行栽培に比べ30%減らすことを目標に肥効調節型肥料をねぎの植え溝だけに施肥し、追肥を1回だけ行う減肥栽培を検討しました。
 その結果、肥効調節型肥料を利用した減肥栽培は畑から流亡する硝酸が少なくなり、ねぎの収量は慣行栽培と同じになることが明らかになりました。

◆ 減肥栽培  ※慣行栽培
図1 植溝直下100cmの土壌水中の硝酸濃度の推移
図2  ねぎの収量

 (病害虫防除室 細田主任研究員)



平成17年度農林水産委員会 県内調査で当場視察
 平成17年11月1日に県議会農林水産委員会が来場し、「自然エネルギー(太陽光)を活用した冬場 の野菜生産技術」、「やませ気象を活用した夏秋どりいちごの新作型開発」、「優良種苗供給事業」 に関連した試験ほ場、施設を視察したほか、小麦品種やながいも新品種の育成などについての意 見交換を行いました。

場の概要及び主要な研究・事業の説明(場長)


東南アジア学留学生研修
平成17年10月1日、青森中央学院大学の留学生が当場と隣接する農産物加工指導センターを訪れました。あおもりくらしの総合研究所が企画した「留学生を対象とした農産物試験研究・加工指導施設等見学・体験研修」として開催されたもので、マレーシア、中国、タイ、ベトナムからの留学生32名と研究所、大学の関係者が参加しました。
 当日はあいにくの雨で予定していたほ場でのごぼうの収穫体験はできませんでしたが、太陽光発電システムと連動したハウス栽培施設や農業機械の見学、ハウス内のミニトマトを収穫・試食、意見交換会などが行われました。特に、ミニトマトの収穫は初めて体験する人も多く、「とてもおいしい」、「めずらしい」などの感想が述べられるなど大変好評でした。

意見交換会風景



畑園試の主要行事

○これまで(10~2月)に開催した主要行事
期 日   行  事  名 場 所     出席者
17,10, 1 東南アジア留学生研修 場 内 あおもりくらしの総合研究所、青森中央学院大学
17,11,17 平成18年度農薬関係資料候補事項検討会 場 内 県庁関係課、県関係機関
17,12,19~20 平成17年度後期試験成績検討会 場 内 全農青森、農協、県庁関係課、県関係機関、他
17,12,20 平成18年度指導奨励事項等候補事項検討会(夏作物等) 場 内 県庁関係課、県関係機関
18, 2,22 平成17年度農林総合研究センター畑作園芸試験場研究成果発表会 場 内 市町村、全農青森、農協 、県庁関係課、県関係機関、他


○3月に開催予定の主要行事
期 日 行  事  名 場 所
18, 3, 6 平成18年度試験設計検討会 場 内
※都合により、変更する場合があります。
 
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