<掲載記事>
○平成18年度主要成果(冬作物等)の紹介
・いちご芽枯れ症状の軽減技術
・一季成り性品種を利用したいちごの周年栽培
○冬作物関係試験研究課題(平成18年播種)
○トピックス
・公開デー
・サイエンスフェア2006 in TOWADAに参加
・じゃがいも収穫体験学習
○主要行事
・平成18年度前半の主要行事
・平成18年度後半の主要行事予定

8月24~25日に当場の前期成績・設計検討会が開催されました。検討された中から、 主な成果について紹介します。
いちごの芽枯れ症状の軽減技術
芽枯れ症状は、八戸市市川地区を中心に、半促成栽培の「麗紅」において、主に12月以降の保温開始後に発生しています。特に、平成10~11年には、同地区で広範囲に芽枯れ症状がみられ、再定植が行われるなど大きな問題となりました。
平成9年から17年までに当場に持ち込みのあったいちご生育不良株について、病害虫等の関与や発生原因を調査したところ、原因が特定できない芽枯れ症状が半数程度ありました。
そこで、平成14年度から八戸市の芽枯れ症状発生圃場において耕種的防除試験を行った結果、軽減効果が認められたので紹介します。
1.ポット苗の利用による軽減
ポット育苗した苗を定植すると、無仮植苗を直接定植した場合より、芽枯れ症状の発生が少なくなります。
2.雨除けによる軽減
定植直後から屋根ビニールを被覆して雨除けを行うと、無被覆に比べ芽枯れ症の発生が少なくなります。
3.注意事項
雨除け後はハウス内温度がやや高くなり、乾燥や病害虫の発生が懸念されますので、適切なかん水と病害虫防除を行う必要があります。また、定植前には圃場周辺の排水対策を施すとともに、台風や大雨により畦間が滞水する場合は、速やかに排水する必要があります。
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写真 芽枯れ症状株の外観 |
表 芽枯れ症状発生株率 |
(栽培部 村上卓司)
一季成り性品種を利用したいちごの周年栽培
一季成り性いちご品種を利用し、夏から収穫を始め翌年の初夏まで収穫する周年栽培について検討した結果、育苗方法、適品種、収量、品質等が明らかになったので紹介します。
1.12cm径ポットを使用して前年の9月中旬に子苗を鉢受けします。9月中旬に採苗では定植時の2芽苗発生率が高まり増収しました。子苗は11月にランナーを切り離して、ポットを露地に並べ置きしたまま越冬させます。3月上旬から育苗ハウスに入れて加温・保温し、蕾や古葉を摘除し、約2か月で本葉を5~6枚抽出させます。
2.育苗したポット苗は、4月下旬頃から遮光率100%の資材を用いて8時間日長の短日処理を行うことにより約1か月後に確実に花芽分化しました。花芽分化確認後定植すると8月上旬から収穫が始まりました。
3.夏秋期及びそれ以降の収量・品質等からみて「さちのか」が最も適すると考えられました。 商品果収量は夏秋期が150g/株程度、それ以降は1,500g/株程度でした。
4.5月から9月にかけてハウス全体を遮光して高温障害を防ぐとともに、冬期間は促成栽培に準じて、最低気温5℃以上を確保できるように保温し、草勢を維持するために10月から2月まで電照を行いました。
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写真1 夏秋期の収穫 |
写真2 春期の収穫 |
(栽培部 岩瀬利己)

総括課題名 |
細目・実施課題名 |
研究期間 |
自然エネルギーを活用した冬の農業確立のための技術開発
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1.冬期多日照地域に適した作物の導入と栽培技術の確立 |
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(1)冬どり果菜類の栽培技術 |
H14~18 |
2.いちご芽枯れ症状の回避技術の確立 |
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寒冷地におけるいちごの周年供給システムの確立
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1.いちごの周年供給のための夏秋どり新作型の開発 |
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(1)やませ気象地域における夏秋どり新作型の開発 |
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ア 越年苗を利用した8月どりの作型開発 |
H15~19 |
イ 夏秋どり作型の現地実証 |
H15~19 |
畑作物・野菜の栽培試験
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1.畑作物・野菜の作況試験 |
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(1)にんにく、小麦の作況
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S59~H18 |
2.畑作物・野菜の栽培改善 |
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(1)にんにく栽培におけるフィールドサーバーの活用(新規) |
H18~
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3.にんにく萌芽抑制技術確立試験 |
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(1)りん片の芽の伸長推移 |
H17~19 |
(2)長期貯蔵後の高温処理に対するにんにくの耐性 |
H17~19
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(3)長期貯蔵後の高温処理による障害発生時期 |
H17~19 |
(4)収穫時期と芽の伸長 |
H17~19 |
にんにく病害虫抵抗性品種育成のための技術開発
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1.新品種育成に向けた育種素材の探索 |
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(1)主要病害虫抵抗性品種の探索 |
H17~20 |
(2)交配育種のための花芽形成等を誘導する環境要因の解明 |
H17~20
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2.品種識別法の確立 |
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(1)生産地識別技術の開発 |
H17~20 |
(2)品種・系統識別技術の開発 |
H17~20 |
麦類の多様な作付体系の開発
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1.小麦の新作付体系の開発 |
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(1)春播小麦品種の地域適応性の把握(新規) |
H18~19 |
(2)秋播き小麦・春播小麦の初冬期播種技術の検討(新規) |
H19~21
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2.醸造用大麦品種の地域適応性の把握 |
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(1)醸造用大麦の地域適応性の把握(新規) |
H18~19 |
(2)醸造用大麦の初冬期播種技術の検討(新規) |
H19~21 |
系統適応性検定試験 |
1.麦類系統適応性検定試験 |
S29~ |
なたね育種試験 |
1.なたね後期世代系統選抜試験 |
S37~ |
畑作物・野菜の優良品種の選定
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1.主要農作物奨励品種決定調査 |
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(1)小麦奨励品種決定調査 |
H11~18 |
(2)なたね奨励品種決定調査 |
H11~18 |
野菜特性検定試験 |
1.いちごの耐病性検定 |
H17~19 |


ふるさと食品研究センター農産物加工指導センターと共催の「平成18年度公開デー」が9月8日(金)に開催されました。昨年までの「農産祭り」を改称して開催したもので、会期も2日間を1日に短縮しました。
当日は約850人の入場者がありました。
ながいもの価格低迷等もあり、試験圃場視察や農事相談に多くの人が訪れました。また、にんにく共進会、野菜の直売コーナー、食堂なども人気を集めていました。
○受付の様子
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受付では会場案内のチラシを配付 |
○試験圃場、施設の案内
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ながいも試験圃場での説明 |
施設栽培(トマト)圃場での説明 |
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太陽光発電装置を活用した施設の説明 |
研究成果展示コーナー |
○畑作物・野菜の相談コーナー
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栽培技術、病害虫防除技術など多岐にわたる相談がありました。 |
○併催行事等
<野菜の直売所>
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じゃがいも、にんじん、ごぼう、キャベツなどの新鮮な野菜が販売され、多くの人で賑わいました。 |
<食堂>
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地元産の食材を使った豚汁、五目御飯、山菜そば等が人気でした。 |
<にんにくパワーアップ共進会>
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「にんにくパワーアップ共進会」表彰式での審査報告(場長) |
最優秀賞、県知事賞を受賞した竹内氏(JAおいらせ) |
<野菜作農業機械実演会>
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野菜収穫機や管理機、ドリフト低減ノズルなどの実演・展示がありました。 |
<農業資材メーカ等の出店>
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肥料・農薬、農業図書、各種資材など県内メーカを中心に出店がありました。 |

8月5日~6日に、十和田市総合体育センターで開催された「サイエンスフェア2006 in TOWADA」に参加しました。子供達の「科学する心」を育てるための企画で、当場からは「野菜の甘さを調べてみよう!」というタイトルでブース出展しました。参加した子供達に、屈折糖度計を用いて、身近にある野菜の甘さを調べる体験をしてもらいました。ブースを訪れ甘さ調べを体験した人数は、2日間で114人でした。

8月28日、大曲小学校の1年生20名、3年生16名、5年生16名の総勢52名がじゃがいもの収穫体験学習のため当場を訪れました。
収穫を行ったじゃがいもは児童自らが4月下旬に植え付けしたものです。天候に恵まれ、出来映えなどについて友達との会話を弾ませながら、楽しそうに手掘り作業を行うことができました。収穫した品種は「キタアカリ」で、学校給食などを通じて味見する予定になっています。
なお、同日にはいちい幼稚園・春日台保育園児 117名も訪れ、同じくじゃがいもの収穫を体験しました。
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全員集合! 収穫方法の説明 |
掘り取り開始 |
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皆さん一生懸命掘っています |
収穫したじゃがいも |

平成18年度前半(4~9月)に実施した主要行事
期 日 |
行 事 名 |
開催場所 |
参 加 者 |
18, 4,18 |
平成18年度地域農業確立総合研究「寒冷地におけるいちごの周年供給システムの確立」現地推進会議 |
八戸市 |
大学、東北農研、市場関係者、JA八戸広域、担当農家、県関係機関他 |
18, 4,28 |
農業体験学習(大曲小学校) |
場内 |
小学校児童他 |
18, 5, 9 |
農業体験学習(いちい幼稚園、春日台保育園) |
場内 |
幼稚園児、保育園児他 |
18, 5,17 |
研究開発評価内部評価委員会(事後評価) |
場内 |
関係委員、研究担当者 |
18, 6,20 |
モチ性小麦の用途開発に係る意見交換会 |
場内 |
加工メーカー、東北農研、八戸ユートリー、県関係機関他 |
18, 6,22 ~9, 8 |
平成18年度若手エキスパート養成研修 |
場内 |
普及指導員2名(1人16~20日間) |
18, 8, 7 |
研究開発評価内部評価委員会(中間評価、事前評価) |
場内 |
関係委員、研究担当者 |
18, 8,24 ~25 |
平成18年度前期試験成績・設計検討会 |
場内 |
大学、全農青森、農協、県関係機関他 |
18, 8,25 |
平成19年度指導奨励事項等候補事項検討会(冬作物等) |
場内 |
県関係機関 |
18, 8,28 |
農作業体験学習(大曲小学校、いちい幼稚園、春日台保育園) |
場内 |
小学校児童、幼稚園児、保育園児他 |
18, 9, 8 |
公開デー(農産祭りを改称) |
場内 |
生産農家、一般消費者、JAなど |
18, 9,19~22 |
青森県農業大学校園芸学(野菜)演習 |
場内 |
農業大学校専攻科2年 |
平成18年度後半(10~3月)予定の主要行事
期 日 |
行 事 名 |
開催場所 |
18,11,16 |
平成19年度農薬関係資料候補検討会 |
場内 |
18,12,21~22 |
平成18年度後期試験成績検討会 |
場内 |
18,12,22 |
平成19年度指導奨励事項等候補事項検討会 |
場内 |
19, 2,22 |
平成18年度試畑作園芸試験場験研究成果発表会 |
場内 |
19, 3, 8~ 9 |
平成19年度試験設計検討会 |
場内 |
※都合により変更する場合があります。
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