畑園試だよりNo.14

<掲載記事> ![]() えだまめ「あおもり福丸」の6月中旬直播露地栽培における収穫適期 平成13年に品種登録された畑作園芸試験場育成のえだまめ品種「あおもり福丸」は、良食味の早生えだまめとして県内での栽培面積が増加しつつあります。その「あおもり福丸」で最も収穫量が多くなる6月中旬に露地に直播きする作型について収穫適期を検討しました。 その結果、莢の厚さが9~10mmのときに食味評価が高く、この時期が収穫適期と考えられました。この時期は、開花期からの積算気温がおよそ900℃にあたる時期(播種日6月15日、開花日8月4日の平成18年度の場合:9月15日頃)になります。 次に、どの位置にある莢の厚さを測ればよいかということになるのですが、同じえだまめの株内でも莢の着く位置によって莢の厚さがバラバラになります。しかし、莢は節(主茎や分枝から葉が出現する部分)にしか着かないので、このことを利用して、どの節に着いている莢の厚さを測ればよいか検討してみました。 その結果、その株内の正常2粒莢の厚さの平均値は、主茎節数を1とした場合に、下部から0.3~0.5の位置にあたる主茎の節に着莢する莢の厚さとほぼ一致することがわかりました。 結論として、収穫時期の判定には、仮に主茎節が12節あった場合(同じ高さに節が左右2つある場合には1つの節として数える)には、一番下の節(子葉節)を1番目として、4~6番目(≒12×0.3~0.5)の主茎の節に着いている莢のうちの正常な2粒莢を選んで、ノギスまたは下図のような自作スケール等を用いて、その莢の厚さが9~10mm程度に達したら収穫するのがよいということがわかりました。 今回は、株あたりの平均総莢数が20莢程度でしたが、着莢数が多くなると、莢の厚さが小さくなる傾向があることがわかっていますので、着莢数が多めの場合は、収穫の目安となる莢の厚さを9mm前後に引き下げる必要があります。 また、今回の結果は、この品種・作型・栽植本数(1,428本/a)におけるものであり、これに当てはまらないケースには適用できません。
(作物改良部 前嶋敦夫)
大豆のアブラムシ類の新しい防除法 大豆のアブラムシ類の新しい防除法として、チアメトキサム水和剤(クルーザーFS30)を大豆乾燥種子に塗沫処理し、播種する方法が有効であることから「平成19年度農作物病害虫防除指針」に掲載されることが決まりました。 その方法・効果等について紹介します。新しい防除法として採用してみてはいががでしょうか。 1.播種前に大豆乾燥種子1kg当たり原液6mlを塗沫処理し、薬剤の乾燥後播種する。 2.平成18年度における圃場試験では、大豆のジャガイモヒゲナガアブラムシ(図1)の発生抑制効果が高く、結果として、これによって媒介されるダイズわい化病(図2)の発病の抑制効果も高いことが明かとなりました(表1)。 3.これまで、播種時から発芽後に行われるアブラムシ類の防除法は「エチルチオメトン粒剤(ダイシストン粒剤)の播溝散布あるいは発芽後の株元散布」でしたが、これらの作業に比べて省力的です。
表1 大豆のジャガイモヒゲナガアブラムシに対するクルーザーFS30 種子塗沫処理の防除効果とダイズわい化病の発生 ![]() (病害虫防除室 石谷正博)
![]() ![]() 青森県施肥合理化推進協議会と全農青森県本部生産資材部農機農業資材課主催の実演会が、当場において開催され、農協や県関係機関などから約80名の参加がありました。 現在販売されているながいも用生分解性ネットは、堆積しても分解しにくいことから、分解促進技術の確立が課題となっています。このため、分解促進技術確立に向けた研究の取組状況の紹介と生分解性ネットの一層の普及を目的として開催されたものです。 当場が実施しているネット・茎葉残渣の裁断処理や堆肥との混入方法などについての研究結果を紹介した後、破砕・混合機による残渣裁断の実演が行われ、参加者の注目を集めていました。
![]() 県庁関係課、農林水産事務所・地域県民局普及指導室等の担当者の参加を得て、農薬関係資料候補事項検討会を開催しました。 当場では、新しく開発された畑作物・野菜関係の殺菌剤、殺虫剤、除草剤、生育調節剤の効果、作物に対する薬害の有無等を試験し、実用性を検討しています。 この検討会は、当場の試験で実用性があるとしたこれら農薬について、国で安全性等が確認され農薬登録されたものを普及に移す判定をする場です。 検討の結果、提案した13事項すべてが採用されました。これらの農薬は、青森県農作物病害虫防除指針編成会議でさらに検討され、「平成19年度農作物病害虫防除指針」に反映されることになっています。 ![]() 研究成果発表会は、場の業務の理解と成果の迅速な普及などを目的として開催しているもので、市町村、農協、農家、県関係機関などから約70名の参加がありました。 本年は2部構成とし、第1部では本年度の主要成果4課題を、第2部では当場及び農林総研グリーンバイオセンターが育成中の新しいながいも系統の紹介、試食を行いました。 発表課題(発表者)は次のとおりです。 【第1部:平成18年度の主要成果】 ①えだまめ「あおもり福丸」の食味評価の高い収穫適期(作物改良部、前嶋技師) ②いちご芽枯れ症状の耕種的軽減技術(栽培部、村上技師) ③にんにく産地識別の可能性(病害虫防除室、山下研究管理員) ④ニンジンハネオレバエの発生と被害軽減に有効な対策(病害虫防除室、及川主査) 【第2部:畑園試育成ながいも優良系統「園試系6」と育成中の有望系統】 ①各系統の特性紹介 畑作園芸試験場育成系統の紹介(作物改良部、鎌田主任研究員) グリーンバイオセンター育成系統の紹介(グリーンバイオセンター 相坂技師) ②各系統の展示と試食 育成系統の形状や食味等について、アンケートによりたくさんのご意見をいただきました。
![]() 平成18年度後半(10~3月)の主要行事
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