畑園試だよりNo.16



<掲載記事>
○平成18年度主要成果(冬作関係)
 ・トマト促成栽培の適品種と温度管理
○冬作物関係試験研究課題(平成19年播種)
○トピックス
 ・写真で見る懐かしの畑園試
 ・ナガイモ産地再生に向けた研修会
 ・公開デー2007
 ・畑園試で使われる農業用ネットあれこれ
○平成19年度主要行事
 ・前半(4~9月)の主要行事
 ・後半(10~3月)の主要行事予定


平成18年度主要成果(冬作関係)

 8月24~25日に弘前大学、関係農協、県庁関係課、地域県民局普及指導室等の参加を得て前期成績・設計検討会を開催しました。検討された中から、主な成果 について紹介します。

トマト促成栽培の適品種と温度管理
  
 平成14年度から県南の冬期の多日照条件を活かした加温による冬場の野菜生産について検討してきました。昨年度は、葉根菜類について成果をとりまとめ普及に移しました。ここでは、本年まで実施していたトマト促成栽培技術についての試験で得られた成果を紹介します。
1.適品種
  この作型に適する品種として、収量の多い「桃太郎J」、糖度の高い「桃太郎ファイト」が有望と判断されました。
  収穫始めは、9月下旬定植で12月中~下旬、10月中旬定植では1月中旬となり、6月末ま での可販収量は「桃太郎J」で1,400~2,000kg/a、「桃太郎ファイト」で1,200~1,800kg/a程度、糖度は「桃太郎J」が5.8~6.7、「桃太郎ファイト」が6.4~7.3程度でした。
2.温度管理
  施設内の最低気温は、15℃を目標に暖房機で加温します。また、12月~2月中旬の厳冬期 には気温だけを15℃を目標に加温しても地温が15℃を下回るため、地上部の生育抑制や落花等の生育不良が見られます。このような場合には、電熱線等で地中加温することで4~6月の収量が25~27%向上することがわかりました。
3.促成栽培における目標収量、販売単価
  この作型における損益分岐点売上高はa当たり450,000円以上で、販売単価300円/kgで可販収量1,600kg/a以上、もしくは可販収量1,200kg/aで販売単価400円/kg以上が目標となります。

表1 促成栽培における地中加温の有無とトマト収量
(平成17年 青森農林総研畑園試)

(注)1)播種・定植時期:平成17年8月5日・9月21日
   2)栽植様式(cm) :うね幅220、株間40、条間40、2条植え(227株/a)
   3)施肥量(kg/a):基肥(窒素4.5、りん酸6.0、加里4.5)、追肥(窒素0.6、りん酸0.5、加里0.6)
   4)マルチの種類 :セラシートダークグリーン
   5)暖房機設定温度は15℃(10月6日~5月26日まで加温)、地中加温設定温度15℃(12月4日~2月18日まで加温)



冬作物関係試験研究課題 (平成19年播種)

   前期成績・設計検討会において、平成19年に播種(植え付け)する試験設計課題を下表のとおり実施することになりました。

 総括課題名      細目・実施課題名 研究期間
青森ブランド野菜販売力強化のための新作型開発 1.ニンニクの貯蔵中の障害発生軽減技術と新作型開発による安定生産技術
(1)貯蔵中の障害発生軽減技術(組み替え)
(2)ハウスを利用した新作型開発


H17-20
H19-22
畑作物・野菜の栽培試験 1.畑作物・野菜の作況試験
(1)ニンニク、小麦の作況

S59-H18
ニンニク病害虫抵抗性品種育成のための技術開発 1.新品種育成に向けた育種素材の探索
(1)主要病害虫抵抗性品種の探索
(2)交配育種のための花芽形成等を誘導する環境要因の解明
2.品種識別法の確立
(1)生産地識別技術の開発
(2)品種・系統識別技術の開発

H17-20
H17-20


H17-20
H17-20
麦類の多様な作付体系の開発 1.小麦の新作付体系の開発
(1)秋播小麦・春播小麦の初冬期播種技術の検討
2.醸造用大麦品種の地域適応性の把握
(1)醸造用大麦の初冬期播種技術の検討(新規)

H19-21

H19-21
系統適応性検定試験 1.麦類系統適応性検定試験 S29-
なたね育種試験 1.なたね後期世代系統選抜試験 S37-
畑作物優良品種の選定 1.主要農作物奨励品種決定調査
(1)小麦奨励品種決定調査
(2)なたね奨励品種決定調査

H19-23
H19-23
野菜特性検定試験 1.イチゴの耐病性検定 H17-19




写真で見る懐かしの畑園試

当場は昭和12年11月に農林省指定酒精原料作物試験地として設立されました。当時の建設工事中の庁舎とその竣工式の様子です。この写真は保存されていたガラス乾板から印刷しました。
耕起作業と思われますが、トラクタ、馬、人力での作業が見られます。 (昭和45年頃) 大豆(?)の播種作業で、横のひもは試験区の境界と思われます。 (昭和45年頃)
作業合間の休憩時間です。農場員の服装は現在と変わりないようです。(昭和50年頃) 鳥害防止試験に使われた案山子です。 (昭和50年頃)


ながいも産地再生に向けた研修会

「あおもりのながいも産地再生戦略」に基づき、高品質ナガイモの安定生産と単収の向上を目指し、指導者等を対象とした県と全農青森県本部主催の研修会が、当場を会場に開催されました。
 第1回目は6月28日に行われ、45名の参加がありました。ナガイモの生育状況、追肥・病害虫防除等の栽培管理方法、当場のナガイモ関連試験の取組み状況について研修しました。
 第2回目は8月1日に行われ、51名の参加がありました。ナガイモの生育状況、生育に基づいた最終追肥の判断、全農・各地域県民局における「あおもりながいも産地再生戦略」の活動状況などについて情報交換し、討論しました。
 この後、年開けには当場の試験成績等を含めた研修会が予定されています。

ナガイモの生育状況報告
(第2回目:8月1日)
畑園試試験圃の実物を見ながらの研修
(第2回目:8月1日)

公開デー2007
 9月7日に公開デー2007を開催しました。台風9号による大荒れの天候に見舞われ、屋外行事を中止するなど催事内容を大幅に変更しての開催でしたが、約300名の来場者がありました。来場者の方々には大変ありがとうございました。

台風9号による大雨と強風のためテントの設営ができず、農業関連メーカの展示販売等の屋外行事は中止となりました。


ナガイモ、ニンニク、小麦などに関する研究成果のパネル展示のほか、当場の古い写真を展示しました。来場者からは日頃のいろいろな疑問、病害虫の防除法など熱心な質問がありました。


 野菜、加工品の販売コーナーではジャガイモ、ネギ、ゴボウ、キャベツ、漬け物、野菜入りトーナッツ、串もちなどが販売され、たくさんの人で賑わいました。
 食堂では上北地域の名物のシャモロックそばや手打ちうどんが出され、評判となっていました。
 来年は、好天に恵まれますように!!

場内で使われる農業用ネットあれこれ
 当場ではいろいろなネットを利用していますが、今回はそれにスポットを当ててみました。
防鳥網
 大豆関係の試験研究では、鳩による種子の食害防止のため欠かせない資材です。最近は、カラスがジャガイモのたねいもに悪戯することがあり、ネットを張ることがあります。
 
ナガイモ用ネット
 ナガイモの蔓はこのネットに巻き付て生長します。従来は竹支柱による合掌式が一般的したが、当場の試験の結果、ネットが受光効率がよく、いもの肥大もよいことから、現在は広く普及しています。
防虫ネット1:野菜優良種苗生産
 当場ではナガイモ、ニンニク、イチゴのウイルスフリー種苗を増殖し、供給しています。これらを生産する施設では、網目が極めて細かいネットを張り、ウイルスを媒介するアブラムシ等の侵入を防いでいます。
防虫ネット2:ハウスでの特別栽培
 一般の家庭で使われる網戸用~やや粗めの網目のネットをハウスの周り(サイド、出入口)に張って害虫の侵入を防ぎ、農薬の散布量を少なくします。 トマト特別栽培実証展示の様子です。
 
遮光ネット1
 強い日射しを和らげ、日焼けや施設内の高温などを防止するために使います。施設の外に張りイチゴの夏秋どり栽培に利用している様子です。
 
遮光ネット2
 遮光ネット1と同じ目的で利用しますが、施設内に張ってあり、タイマーで自動開閉できます。ネットの下は冬春期の低温時に使う保温用フィルムです。
 
防風ネット
 春先の強風や6~7月に吹くやませなどから作物や、施設を守るために使います。
 
ニンニク収穫・乾燥用ネット袋
 ニンニクは、収穫後乾燥させたものを出荷します。当場では、ネット袋に入れ、温風で乾燥します。試験区名・処理内容を記載した荷札を付け、混じらないようにしています。
 


平成19年度主要行事
前半(4~9月)の主要行事
期 日     行   事   名 開催場所 参 加 者
19, 4,24 ナガイモ優良種苗検討会(主催:農産園芸課) 場内 全農青森県本部、農協、県関係課・機関
19, 4,27 農業体験学習(いちい幼稚園、春日台保育園) 場内 幼稚園児、保育園児他
19, 5, 7 農業体験学習(六戸町立大曲小学校) 場内 小学校児童他
19, 5,16 研究開発評価内部評価委員会(事後評価) 場内 関係委員、研究担当者
19, 6,28 第1回ナガイモ生産技術研修会(主催:農産園芸課) 場内 全農青森県本部、農協、県関係課・機関
19, 7,31 研究開発評価内部評価委員会(事後評価) 農林総研 関係委員、研究担当者
19, 8, 1 第2回ナガイモ生産技術研修会(主催:農産園芸課) 場内 全農青森県本部、農協、県関係課・機関
19, 8,23 ~24 平成19年度前期試験成績・設計検討会 場内 大学、全農青森、農協、県関係課・機関
19, 8,24 平成20年度指導奨励事項等候補事項検討会(冬作物等) 場内 県関係課・機関
19, 8,27 農作業体験学習(いちい幼稚園、春日台保育園) 場内 幼稚園児、保育園児他
19, 8,28 農作業体験学習(六戸町立大曲小学校) 場内 小学校児童他
19, 8,29 高品質ニンニク生産対策研修会(主催:農産園芸課) 場内 全農青森県本部、農協、県関係課・機関
19, 9, 7 公開デー 場内 生産農家、一般消費者、JAなど

後半(10~3月)の主要行事
期 日    行    事    名 開催場所
19,10,16 「寒冷地におけるイチゴの周年供給システムの確立」現地推進会議 八戸市
19,11,15 平成20年度農薬関係資料候補検討会 場内
19,12,18~19 平成19年度後期試験成績検討会 場内
19,12,19 平成20年度指導奨励事項等候補事項検討会 場内
20, 2,22 平成19年度畑作園芸試験場試験研究成果発表会 場内
20, 3, 4~ 5 平成19年度試験設計検討会 場内
※都合により変更する場合があります。
 

 
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