畑園試だよりNo.7
平成16年8月25日に「前期試験成績・設計検討会」を開催し、冬作物についての試験成績24課題、試験設計21課題を検討しました。この中から平成17年度指導参考資料に採用されたいちご関係の成果を紹介します。 1.短日処理した一季成り性いちご品種の花芽分化と夏秋期以降の収量・品質 前年の秋までにポットに採苗し露地で越冬後春に再育苗した越年苗と春にポットに採苗した当年苗に対して、それぞれ6週間程度、4週間程度の短日処理(8:30~16:30の8 時間日長)をすることにより、容易に花芽分化する。 越年苗利用では、4月下旬からの短日処理で7月下旬~10月下旬及び翌年1月下旬~6月に収穫することができた。また、当年苗利用では、6月中旬からの短日処理で9 月下旬~11月下旬及び翌年2月下旬~6月に収穫することができた。 夏秋期を含めた年内収量は、越年苗利用では株当たり80~120g、当年苗では60~100gであった。 2.いちごの越年株据え置き栽培における収量・品質 半促成栽培で使用した主要な一季成り性品種の越年株を、株の手入れをしてそのまま 据え置き栽培することで、端境期である夏秋期を含めた翌春までの収穫が可能であることが確認され、生育・収量・品質等が明らかになった。 半促成栽培としての収穫終期である6月に、1株当たり2芽程度(1株当たり4~5枚に摘葉)に整理し、ランナーを摘除して栽培を続けると、7月以降翌年6月まで収穫でき、株当たりの商品果収量は、「さちのか」が1,100g程度、「とちおとめ」が900g程 度であった。 3.対象地域、注意事項など 対象地域は夏期冷涼な太平洋沿岸等の地域とし、どちらの方法でも、不受精果や種浮き果等の高温障害を軽減するために、5月から9月にかけてハウス全体を遮光する。 また、翌春まで収穫を行うためには、冬春期はハウス内の最低気温5℃以上を確保するよう保温する。 盛夏期の着果状況 栽培部 岩瀬 利己
恒例の「農産祭り(共催:ふるさと食品研究センター農産物加工指導センター)」が、9月9日(木)~10日(金)に開催されました。 「攻めの農林水産業、あおもりブランドをめざして」をメインテーマに試験ほ場の公開や試験成果の展示、野菜・畑作物の栽培及び病害虫防除相談所の開設などたくさんの催し物が行われました。 また、併催行事としてにんにく共進会や野菜作機械実演会も行われました。 前日の台風18号の影響が心配されましたが、2日間とも好天に恵まれて延べ1,800人の入場者がありました。 相談所:土づくり、ヤーコンなどの新しい野菜の作り方、安全・安心な病害虫防除などについての相談がありました。 ばれいしょ試食コーナー:外観、肉質等に特徴を持つ新しい品種の試食が行われました。 6月15日、小麦の立毛検討会を開催しました。実需者のニーズに沿った小麦の安定生産が重要となる中、近年、用途別の品種育成が進められており、奨励品種決定試験で有望視されているものも幾つかあります。今回の検討会は、現在試験中の品種や系統を紹介することを目的としたものであり、県内の関係機関から35名の参加がありました。 始めに、東北農業研究センター麦育種研究室の谷口義則室長から、「最近の小麦育種の動向」と題したご講演を頂きました。同センターでは、近年、本県の奨励品種となっためん用品種「ネバリゴシ」、パン用の有望品種「ゆきちから」、モチ性系統の「東北糯217号」等を育成しています。ご講演では、これらの品種の加工適性や栽培特性について、詳しく解説して頂きました。 次に、場内の小麦試験圃場で、有望品種の立毛状態を見ながら検討を行いました。本年は、越冬前の生育が旺盛で、根雪期間も平年より短かったため、穂数が多く、稈長が長くなり、一部に倒伏も見られましたが、概ね良好な生育状態をお見せすることができました。奨励品種候補として有望視されている「ゆきちから」については、蛋白質含有率を高めるための追肥試験の状況等についても説明致しました。 大会議室に戻り、「ゆきちから」100%、及び「東北糯217号」を20%ブレンドした小麦粉で焼いたパンを試食しながら、県立保健大学の藤田修三教授からモチ性小麦についての情報を提供して頂きました。モチ性の小麦は、小麦の文化圏とモチの文化圏をつなぐものとしてユニークな存在であり、世界的に注目されているとのことでした。 県産小麦の販路拡大を図るためには、これまでの日本めん用品種に加えて、パン・中華めん用品種やモチ性系統を導入して新たな用途を開拓していくことが望まれていることから、関係機関及び実需者による情報交換を目的として、新用途小麦研究会(仮称)を立ち上げること等についても意見交換を行いました。 東北農業研究センター谷口室長による講演 試験圃場での立毛検討
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