畑園試だよりNo.8

![]() ねぎの土寄せ作業省力化のための歩行型管理機の改良 根深ねぎの栽培では「ボケ(軟白部の緑と白の不明瞭な部分)」を少なくし商品性を向上させるため、最終の土寄せ後にさらに手で仕上げ作業を行っていて、この作業の省力化が課題となっていました。 平成14年度から最終培土時に仕上げ作業も同時にできる管理機を目標として改良に取り組み、試作機が完成したので紹介します。 改良機は、汎用の歩行型管理機に取り付けた「うね成型用ローラー」に、新たに考案した「専用ブラシ(ハケ)」を接続したものです。管理機のロータリーで跳ね上げた柔らかい土を、「うね成型用ローラー」でうね側壁表面の凸凹をならしながら押さえ付けるとともに、株元に向け傾斜を付けた「専用ブラシ」で、うね上面をならし、ねぎの株元に土を充填する仕組みとなっています。 性能調査等では、「ボケ」が少なく、仕上げ作業を省くことができることから大幅な省力化につながるなど、実用性は高いという結果でした。 ![]() 試作した改良式歩行型管理機 (栽培部 村上卓司) ![]() ![]() 青森県では冬期間の農業振興を図るため、地域資源を活かした「冬の農業」を推進しています。その一環として、当場では平成14年度から冬期に太陽光エネルギーを利用して発電し、その電力を用いて温水を作り、それによりハウスを加温して野菜を栽培する試験を行っております。施設の建設が遅れたため、本格的に試験が始まったのは15年度からで、作付けした5品目のうち、根菜類(こかぶ、だいこん)は、は種時期により収穫までに要した期間が異なりましたが、収量には品種間差がありませんでした。葉菜類(こまつな、こねぎ)は、は種時期により収穫までに要した期間が異なり、収量には品種間差がみられました。高温を好むトマトは、厳寒期に生育に支障をきたし、減収しました。そこで、16年度は葉菜類と根菜類については15年度と同様に栽培して年次変動を調べ、トマトについては栽培の改善を重点に試験を進めています。 ![]() 収穫期を迎えたトマト (栽培部 木村利幸) ![]() 東北農業試験場(現東北農業研究センター)が世界で初めて育成したモチ性小麦品種は、その後改良されて、本県の気象条件に合う系統も育成され、注目されています。 12月8日に、モチ性小麦の紹介と利用の可能性を考えることを目的に、「モチ性小麦研究会」を開催しました。当日は、県関係機関の他、東北農政局、農産物改良協会、実需者等、約40名の参加がありました。 研究会では、県立保健大学の藤田修三教授の講演「新食品素材“モチ小麦”の食品への応用」、16年度栽培試験の結果の紹介、モチ性小麦を使った試作加工品(「南部煎餅」、「かます餅」)の試食を行いました。 「南部煎餅」の試作を担当した在家清吾氏(八戸煎餅組合副組合長)からは、焼くと大きく膨張する性質を持っており、これを活かした新製品が作れるのではとのコメントがありました。他の参加者からは製粉方法の検討や製品開発に向けた斬新な考え方が必要であるなど多くの意見が出されました。最後に、モチ性小麦の普及に向けて、今後も連携を図っていくことを確認しました。 ![]() モチ性小麦を使った試作加工品の試食 (作物改良部 栁野利哉) ![]() 当防除室には毎月数十件の問い合わせ、診断依頼がありますが、これらは全て記録し、データベース化しています。15年度は冷夏により、いもち病による深刻な被害が発生するなど低温性の病害が目立ちましたが、16年度は高温少雨で経過したため、萎ちょう病や細菌性病害など高温性の病害や高温に伴って生じる生理障害、虫害等々の診断依頼が多い傾向にありました。これを品目別に比較すると、やはり主要農産物であるながいも、にんにくについての問い合わせが多く、ついでトマト、ねぎ、だいこんという順番になっています。病害虫以外では農薬取締法改正に伴って農薬に関する問い合わせが依然として多い状況です。 また、今年度新たに県内9市町村17地点でアシグロハモグリバエの発生を確認しました。この害虫は野菜、花き類、雑草など14科30品目の植物に寄生します。難防除害虫であり、特に施設栽培での被害の拡大が懸念されます。苗に伴って移動する可能性が高いので、苗の購入、譲受の際には十分注意して下さい。 ![]() アシグロハモグリバエ(右上)とキュウリの葉の被害様相 ![]() 平成16年度診断依頼内訳(総数336件 平成16年4~12月) ![]()
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