イトウ
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和名:イトウ
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学名:Hucho perryi (Brevoort)
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英名:Japanese huchen
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特徴:青森県レッドデータブック(2010年改定版)のEX(絶滅種)。環境省の絶滅危惧類IB類。体は銀色を帯びた薄紫色、あるいは薄緑色で全体に黒点が散在する。頭部背面は扁平で体型は細長く、体高は低い。幼魚にはパーマークがあるが全長15センチメートル前後に成長した頃から不明瞭になり徐々に消失する。
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生態:稚魚期は水棲昆虫、落下昆虫などを捕食するが、大きくなるとカジカ、ウグイ、サケ稚魚などの魚類を捕食する。体長30センチメートルを超えるとほとんどが魚食性となる。イトウの一部には降海型が見られる。しかし降海後も沿岸から離れることはない。また汽水性のものも多い。
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成長:日本最大の淡水魚で全長1メートルを超えることもある。成熟するのは雄で4年から6年で体長40センチメートル程度、雌は6年から8年で体長60センチメートル程度から始まる。
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産卵期:北海道では4月から5月、青森県で養殖されているものは4月下旬から5月上旬。
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分布:現在は千島列島南部、サハリン、沿海州。日本では北海道にのみ生息し、幻の魚と呼ばれている。かつては青森県の太平洋側の湖沼に普通に生息していた。1890年代の記録では小川原沼(現在の小川原湖)で約1トンのイトウの水揚げが記録されている。しかしその後、生息数は減少し、小川原湖では1942年から1943年の採捕の記録が最後となっている。また大畑川では1992年に採捕されており、これが青森県で最後に採捕されたイトウとなっている。
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養殖:青森県では北海道大学水産学部付属七飯養魚実習施設から1981年以降、9回にわたり導入され、その後鰺ヶ沢町、深浦町で養殖が行われている。

イトウ成魚

ふ化直後のイトウ
【参考文献】
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サケ・マス魚類がわかる本:井田齊、奥山文弥、山と渓谷社
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イトウの養殖技術:川村洋司、原彰彦、寺西哲夫、松坂洋、新魚種開発協会
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青森県におけるサケ科魚類相:原子保、青森県水産試験場研究報告第2号
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日本の淡水魚:川那部浩哉、水野信彦編 監修、山と渓谷社