解剖図
ホタテガイの解剖図
各項目をクリックすると電子顕微鏡写真が見れます。
- 外套膜 上下(左右)の貝殻内部の周辺は、半透明な外套膜というもので被われています。外套膜は貝殻を作ったり、泳ぐ方向を決める働きがあります。また、外套膜の周辺には多数の目や触手が存在します。
- 目 外套膜の周辺にある黒い点が全て目です。上(左)の外套膜には約50個、下(右)の外套膜には約30個あります。1個の目で100度くらい見渡せます。色は判りませんが、明暗でヒトデなどの外敵が近づいて来たことが判ります。
- 貝柱(閉殻筋) ホタテガイの貝柱は2種類の筋肉からなっています。1つは大きい貝柱で有紋筋でできていて、泳ぐときに貝殻を瞬間的に閉じるために使います。もう1つは大きい貝柱の横に三日月状の小さな貝柱があり、貝殻をじっと閉じておくために使います。
- 心臓(血液) 心臓は貝柱と中腸腺の間にあり、2心房、1心室からなっています。血液は透明ですが、アメーバ状の血球が多数存在します。
- 中腸腺 貝柱と蝶番の間にある黒または灰色の器官ですが、この中には胃があります。口から取り込んだ餌(植物プランクトンやその死骸)はここで消化され、消化された一部はここで吸収されます。
- 唇 中腸腺の横に茶色の柔らかな器官で、その奥には口があります。唇は、餌を集めて口に入れる働きがあります。
- 生殖巣 貝柱の横にある三日月状の器官ですが、冬になるとこの器官は大きくなり、雌は橙赤色またはピンク色になり、雄は乳白色に変化します。
- 足 中腸腺の付近の生殖巣に足が付いていますが、小さい頃に採苗器、海藻などに付着するために使います。
- 鰓 貝柱の横にある茶色の柔らかい器官ですが、鰓は呼吸するとともに、海水中にある餌(植物プランクトンやその死骸)をろ過して集める働きがあります。
- 貝殻 上の貝殻は茶褐色で左殻と呼ばれていて、下の貝殻は白色で右殻と呼ばれています。天然の貝では年輪のように成長の障害輪を数えることで年齢が判りますが、養殖貝では作業中に貝殻がかけたりするために、年齢を判別するのは難しいです。
外套膜


目
外套膜周辺の触手の間には多数の黒い点が見られますが、これは全て目です。この目のレンズはシュミットカメラのレンズに似ていて、この目1個で100度近くの視野があります。
閉殻筋
貝柱は多数の筋繊維からなっています。
大きい貝柱の筋繊維は有紋筋でできています。
血液
ホタテガイの血は無色透明であるが、5~10ミクロンの大きさのアメーバのような血球が多数存在します。
中腸腺
中腸腺内部には胃がありますが、上の写真はホタテガイの胃壁です。
唇
中腸腺の横にはカリフラワー状の唇がありますが、唇の表面には多数の繊毛が存在し、鰓で捕食した餌をこの唇で口まで運びます。
生殖巣
ホタテガイの卵の直径は60ミクロン(0.06mm)くらいしかありませんが、卵巣中には約1~2億個あると言われています。
ホタテガイの精子の頭部は円錐形をしていて、その長さは3.5ミクロンくらいあり、尾部は35ミクロンくらいあります。

雌(橙赤色)

雄(乳白色)

雌雄同体(卵巣内に精細胞が点在)
足
ホタテガイは足が1本ありますが、小さい頃にこの足から足糸という糸で採苗器、海藻などに付着します。
鰓
ホタテガイの鰓は呼吸する部分と餌を取る部分に分かれていますが、上の写真は呼吸する部分です。
上の写真は同じ鰓の餌を捕食する部分です。表面にある多数の繊毛で餌を絡め取り、口まで運んでいきます。
貝殻
貝殻は主に炭酸カルシウム(CaCO3)からできていますが、貝殻の内側は上の写真のように炭酸カルシウムが結晶状になっています。
ホタテガイ解剖学(Scallop Anatomy)
ホタテガイ(Patinopecten yessoensis)の組織解剖写真を公開します。
ホタテガイの解剖学、組織学アトラス(88.1MB)