青森農研フラッシュ 創刊号

青森農研フラッシュ

 

創刊号(平成15年5月)

掲載内容
県内におけるSU抵抗性雑草の分布状況と防除対策 (水稲栽培部)
自然エネルギーを活用した冬の農業確立のための技術開発に向けて-地中熱、風力の利用技術の開発- (砂丘研究部)
水稲湛水直播栽培の収量向上と省力・低コスト技術の開発に向けて

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県内におけるSU抵抗性雑草の

分布状況と防除対策

水稲栽培部

全国的に一発処理除草剤(一発剤)を散布しても特定の雑草が枯死せずに残草する事例が報告されています。これらは、多くの一発剤に含まれているスルフォニルウレア系化合物(SU)に対する抵抗性が原因であることが明らかになってきています。

 県内では、平成8年に藤崎町の水田に特異的に残草したアメリカアゼナの抵抗性が確認されたのを始めに、アゼナ類の残草が各地で増加しているほか、最近ではホタルイ類の残草も見らるなど、抵抗性雑草の発生が懸念されていました。
 そこで、平成13、14年に各地域農業改良普及センタ-及びJA全農あおもりの協力を得て、中干し頃に残草している雑草を採取し、迅速検定法(東北農業研究センター、内野)により抵抗性の検定を行いました。

図1 抵抗性アゼナ類の県内発生状況       図2 抵抗性ホタルイ類(イヌホタルイ)の県内発生状況    図3 抵抗性コナギの県内発生状況

抵抗性雑草が確認された市町村
感受性雑草が確認された市町村(抵抗性雑草優先)
抵抗性と疑わしい雑草が確認された市町村 (抵抗性雑草優先)

 図1~3の検定結果から県内において抵抗性雑草が広く発生していることが明らかとなりました。また、疑わしい個体が発見された市町村はもとより、未調査又は感受性個体と判断された市町村についても発生が予想されます。抵抗性コナギの発生状況は、サンプル数が少ないため、まだ明らかになっていませんが、注意が必要です。

 抵抗性アゼナ類、ホタルイ類の除草体系は、初期剤+中期剤、初期剤+一発剤(各抵抗性雑草に効果の高い成分を含む)の順で効果が高く、一発剤(各抵抗性雑草に効果の高い成分を含む)のみの体系では条件によっては効果が劣る場合があります。どちらも高密度で残草した場合はベンタゾン剤の処理が有効です。

 

 

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自然エネルギーを活用した冬の農業

確立のための技術開発に向けて

(平成15~19年)

-地中熱、風力の利用技術の開発-

砂丘研究部

 地中熱とは、深さ100m程度の比較的浅い地盤に蓄えられる10~15℃の年中安定した熱をいいます。この地中熱と風力エネルギーを冬の施設園芸に効率的に利用するための基礎研究を行います。
 初年目は、施設の建設とエネルギー関係の基礎調査が中心になります。地中熱は暖房の熱源に、風力は冬期少照地帯における補助光の光源に利用し研究を進めます。最初の数年間は、葉菜類(こまつな等)で補助光の利用技術の検討を行い、その後、果菜類にも取り組む予定です。
 最近話題となっているCO2削減や化石燃料の枯渇など地球環境問題に対応しつつ、地中熱や風力を活用した野菜栽培技術を確立することにより「冬の農業」への取組が拡大し、雇用や収入の拡大、新鮮な農産物の提供と流通など地域の活性化が図られるとともに本県農業のイメージアップにもなります。

 

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水稲湛水直播栽培の

収量向上と省力・

コスト技術の

開発に向けて (平成15~19年)

水稲栽培部

 これまで農業者の高齢化や担い手不足に対応した水稲の省力・低コスト技術として水稲直播栽培の技術開発に取り組んできましたが、その成果は、平成14年3月に「青森型水稲直播栽培技術」(暫定版)としてとりまとめ、普及指導機関に配布したところです。
 本県の直播栽培普及面積は平成12年以降、13、14年と倍増してきており、省力・低コスト技術として今後ますます農家の直播栽培に対する要望は高まり、普及面積の拡大が予想されます。
 しかし、現状の直播栽培技術では、水稲作の省力化や複合経営の規模拡大への導入効果は大きいものの、移植栽培と比較して気象条件による生育・収量の変動が大きいことや収量性の点で改善すべき課題が残っており、低コスト化も今以上に進める必要があります。そこで収量は移植栽培対比90~95%、生産費は移植栽培対比80%を目標に技術開発を行います。

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