水稲品種開発部

業務の概要

水稲品種開発部では、水稲の食味・品質・耐冷性・耐病性・高温耐性等に優れた品種育成と奨励品種の選定、優良種子の生産を行っています。
「青天の霹靂」「はれわたり」「まっしぐら」等の主食用粳(うるち)米品種の育成を主体に、糯(もち)米品種、酒米品種、直播向け品種、製パン性・製麺性に優れる高アミロース米など一般の米とは違った形状や性質を持つ新形質米品種、飼料用品種などの育成を行っています。

 

主な取り組みと最近の成果

水稲品種の育成

極良食味品種、業務用品種の育成

粳(うるち)米品種として、青天の霹靂、はれわたり、まっしぐら、つがるロマン等の多くの品種を開発してきました。現在は、食味・品質が既存品種を上回り、寒さや病気、高温に強く、収量性も高めた品種を目指して育成を行っています。


左が手植え作業、右が人工交配の画像

左が観賞用稲、右が食味官能試験を行っている画像

 

 

直播向け品種の育成

米づくりの低コスト化・省力化・軽労化のための栽培技術の一つに、苗づくりや田植え作業を省略できる直播栽培があります。気象条件の厳しい青森県での直播栽培に適した、早生・早熟で倒れにくく、低温でも苗立ちの良い品種の育成を行っています。

 

各種用途向け品種の育成

酒米、糯(もち)米の他に、軟らかく粘りが強い低アミロース米、製パン性や製麺性が高い高アミロース米、米の形状・性質や用途などに特徴のある極小粒米・紫黒米・巨大胚米などの新形質米の育成を行っています。これまでに、酒米品種の華吹雪、華想い、華さやか、吟烏帽子、糯米品種のあかりもち、極小粒米品種のつぶゆき、紫黒米品種である紫の君、式部糯などを育成し、本県の奨励品種、認定品種に指定されました。

また、飼料用米品種ゆたかまる、稲発酵粗飼料用品種あおばまるが飼料作物奨励品種に指定されています。

酒米品種の吟烏帽子、華吹雪、華想いの籾と玄米を比較した画像


観賞用品種の育成および配布

観賞用品種として、葉色が白い「ゆきあそび」、葉色が赤い「べにあそび」、葉色が橙色の「あかねあそび」、穂の色が赤い「赤穂波」、穂の色が紫色の「紫穂波」、穂の色が白色の「白穂波」を育成しました。なお、観賞用品種は当センターで種子を配付(例年2月上旬前後)していますので、配付を希望される方は以下の配付予定及び配付条件を確認下さい。

 

観賞用稲種子(令和6年度播種用)の配付(関連ページへ)

 

 旧藤坂稲作部育成の品種

国の水稲育種指定試験地などとして昭和10年から寒冷地向け水稲品種の育成を行ってきた藤坂稲作部(十和田市)は、平成31年3月に廃止となりました。藤坂稲作部で近年育成した品種には、直播向け品種「ほっかりん」、低アミロース米品種「あさゆき」「ゆきのはな」、飼料用米品種「えみゆたか」などがあります。

 

水稲奨励品種の選定

育成した系統を水稲品種開発部の他、県内7か所で試験栽培し、出穂期や収量性・食味・品質等多くの特性を調査します。調査結果を基に県内で安定的に栽培できるかどうかを判定し、将来本県の主力となる品種候補を選定します。

 

本県水稲の主力品種

青天の霹靂

 

青天の霹靂のロゴ

奨励年次:平成27年~現在
旧系統名:青系187
育成場所:青森県産業技術センター農林総合研究所
交配親:北陸202(夢の舞)/青系157//青系158

 良質・良食味の青森県産米の看板品種で、主に津軽中央地帯で栽培されています。日本穀物検定協会の食味ランキングでは、7年連続特Aの評価を得ています。玄米品質は腹白・心白の発現が少なく良好です。
 平成273月に奨励品種に指定され、稲妻のように鮮烈な存在になって欲しいという願いを込めて命名されました。なお、作付けには生産者登録が必要です。
つがるロマン つがるロマンのロゴ 奨励年次:平成9年~現在
旧系統名:青系115号
育成場所:青森県農業試験場
交配親:ふ系141号/あきたこまち
 良質・良食味の青森県産米の看板品種で、主に津軽中央地帯で栽培されています。日本穀物検定協会の食味総合ランクはAの評価を得ています。倒伏抵抗性はやや弱い「中」です。玄米品質は腹白・心白の発現が少なく良好ですが、刈り遅れにならないよう注意が必要です。
 平成9年1月に奨励品種に指定され、米づくりの里である津軽を発祥の地として、全国有数の銘柄となるよう、青森県稲作農家のロマンを込めて、全国から応募のあった8,861点の中から命名しました。
まっしぐら まっしぐらのロゴ 奨励年次:平成17年~現在
旧系統名:青系138号
育成場所:青森県農林総合研究センター
交配親:奥羽341号/山形40号
 いもち病に強い良食味品種で、主に津軽西北・県南内陸地帯で栽培されており、平成23年度からは青森県で最も多く作付けされています。倒伏抵抗性は強いのですが、玄米品質・食味が低下しないよう多肥栽培や刈り遅れに注意が必要です。
 平成17年3月に奨励品種に指定され、青森県産米の食味・品質の追求に「まっしぐら」に、そしてきまじめに取り組んでいく気持ちを込めて、全国から応募のあった3,946点の中から命名しました。
はれわたり

 

 

 

奨励年次:令和4年~現在
旧系統名:青系196
育成場所:青森県産業技術センター農林総合研究所
交配親:青系169/青系170
 いもち病や冷さに強いだけでなく、主に高温が原因で発生する胴割粒が少ないという特性を持つ良食味品種で、県内の一般栽培は令和5年度からとなる予定です。
 令和43月に奨励品種に指定され、青森の空が広く晴れ渡る様子をイメージし、全国から応募のあった
10,205点の中から命名されました。

 


優良種子(原原種、原種)の生産

稲作農家が使用する種子の元種(もとだね)である原種(げんしゅ)と、さらにその元種である原原種(げんげんしゅ)を生産しています。

原種とは、育成された個々の品種の持つ特性(食味、品質、収量性、寒さや病気に強いか弱いか等)が失われないように維持されている種子をいい、厳重な栽培管理の下で生産しています。原原種はその元種で、1株1本植えで1株ずつ特性を調査し、さらに厳重な栽培管理の下で生産しています。

まっしぐらの原種ほ場の画像
まっしぐらの原種ほ場

 

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