青森農研フラッシュ 第2号

青森農研フラッシュ 第2号(平成15年8月)

津軽地域における小麦品種「ネバリゴシ」 安定生産のためのは種期とは種量 (水田利用部)
水稲の青森型有機農産物等栽培技術の確立 (環境保全部)
青森特産えだまめ「毛豆」シリーズの産地化に向けて(経営研究室)
 


 

津軽地域における小麦品種

 

「ネバリゴシ」安定生産の

 

ためのは種期とは種量 

水田利用部

 「ネバリゴシ」は、「キタカミコムギ」と比べ、粗蛋白質含量が高く、めんのなめらかさと粘弾性に優れるといった、めん用の加工適性が高い品種です。青森県内におけるネバリゴシの栽培面積は平成14年産が県南地域の326haにすぎませんでしたが、平成15年産以降は、津軽地域でも作付けされ、今後も増加するものと予想されます。
津軽地域では、越冬前の生育量の目標が県南地域とはやや異なります。津軽地域では、積雪期間が長く、寒雪害の発生が多いため、やや大きめの生育を確保する必要があります。そのための最適なは種期は、9月第4~5半旬です。は種適期より早くは種した場合、生育が旺盛となり、過繁茂となります。そのため、雪腐病に弱く、倒伏の可能性が大きくなります。また、遅くは種した場合には、生育量が少なく、越冬株率が劣り、穂数が少なくなるため、減収します。なお、岩木山麓地域など積雪量が多く積雪期間も長い地域では、生育量を確保するため、「キタカミコムギ」同様、9月上旬には種を早める必要があります。越冬前の生育量確保のためには、は種量も重要です。ドリルまきの最適なは種量は10a当たり8~10kg(㎡当たり220~275粒)です。県南地域に比べ、雪腐病など寒雪害の発生が多い津軽地域ではやや多めには種する必要があります。ただし、は種量が増加するほど茎数は多くなりますが、収穫時の穂数は増えません。穂数は10a当たり8~10kgのは種量でほぼ最大となります。収量は、は種量の増加により、増える傾向にありますが、10a当たりは種量10kgで頭打ちとなります。また、10a当たりは種量6kgでは減収するときと増収のときがあり、収量は不安定となります。 なお、やむを得ず、9月第6半旬以降には種する場合は、2kg程度は種量を増やす必要があります。 

 
越冬前のネバリゴシ

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水稲の青森型有機農産物等

 

栽培技術の確立

(平成14~18年)

環境保全部

 消費者の食に対する安全・安心志向が高まっていることから、それに対応した水稲の栽培法を確立するため、平成14年度から減農薬・減化学肥料栽培法について、また、16年度から化学合成農薬や化学肥料を使用しない有機栽培法について検討する予定です。
昨年一年だけの結果ですが、減農薬栽培関係では、育苗時のもみ枯細菌病と苗立ち枯れ病に対する種子消毒に生物農薬が有効であることや薬剤効果が長期間持続するいもち病防除剤(1成分)を育苗時に箱施用することで、穂いもちまでの防除が可能であるという知見が得られています。また、除草剤の使用を削減するため、移植時に再生紙マルチで田面を被覆する方法や二輪乗用除草機(立乗りタイプ、写真)を利用した防除試験では、除草剤なしで雑草防除ができ、慣行と同程度の収量が得られています。  
減化学肥料栽培関係では、県内に流通している有機質資材や有機質100%肥料の成分及びそれら資材の窒素無機化特性(土壌中での窒素放出パターン)や本田での肥料としての効果について検討し、一部の有機質資材を活用することにより減化学肥料栽培が可能であるとの知見を得ています。今年は、これら有望な方法の組立試験を実施し、経営・経済評価を行う予定です。

 

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青森特産えだまめ

「毛豆」シリーズの産地化

に向けて

(平成15~19年)

経営研究室

 農林総研・畑園試育成のえだまめ早生品種「あおもり豊丸」、「あおもり福丸」と晩生の毛豆の3品種組合せにより、「毛豆」が8月上旬から10月上旬にかけて継続出荷が可能になったので、「毛豆」の産地化を図るため販売方法を検討しています。
消費者は、鮮度を最も重要視し、購入はスーパーと直売所が圧倒的なこと、産地・品種・量目の表示を強く要望していること、市場関係者は、規格・品質の均質化、段ボール・包装など出荷資材の統一、一定量の継続出荷を要望していることが明らかになりました。
このため、農林総研・畑園試が主体となって実施している現地実証では、出荷資材を統一して青森市中央卸売市場への継続出荷したところ、仲卸から高い評価を受け、市場平均価格以上で相対取引され、青森市内のデパート・スーパーで販売されています。また、直売は、販売量に制約があるものの、農家にとっては高い手取り価格と所得が確保できることが明らかとなり、消費者にとっても新鮮なものが安価で買えるメリットがあります。
このようなことから、「毛豆」の産地化に当たっては、図に示すような市場出荷と直売を両輪に、市場サイドだけでなく小売り段階、消費者段階の情報を把握しながら、産地規模に合った販路の確保に努めるとともに、生産に見合う販売価格と所得を確保することが大切になります。

 

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