青森農研フラッシュ 第4号

青森農研フラッシュ

 

第4号(平成16年3月)

黒毛和種放牧育成子牛の肥育性 (農林総合研究センター畜産試験場 家畜部)
寒小ぎくの年内開花品種の選定(フラワーセンター21あおもり 普及技術部)
りんごの新わい性台木「青台3」について(りんご試験場 栽培部)
 

黒毛和種放牧育成子牛の肥育性 

畜産試験場 家畜部

 放牧育成した黒毛和種肥育素牛は、見栄えが悪い、肥育性が不明などの理由から、子牛市場での評価が低く、このため、公共牧場における放牧頭数の減少や農地の遊休化等が問題となっています。そこで、当場では、母子輪換放牧と別飼い飼料給与により、放牧育成子牛の発育が向上し、舎飼い育成子牛と同等の発育が確保できることを明らかにしてきましたが、今回、その放牧育成技術によって育成された肥育素牛を実際に肥育し、その産肉性について比較検討を行ないました。
試験区分は、生後6か月齢まで放牧育成した長期放牧育成区、生後4か月齢まで放牧育成した短期放牧育成区、全期間舎飼い育成した舎飼い育成区(表1)とし、同じ条件で肥育したところ、放牧育成された肥育素牛は、放牧期間の長さにかかわらず、舎飼い育成肥育素牛と同等の枝肉成績と増体が得られる(表2及び図1、2)ことがわかりました。
 平成16年度からは、遺伝的に同一なクローン牛を用いて、放牧育成環境が発育及び肉質に及ぼす影響についてさらに検討する予定です。



写真 放牧育成での別飼い状況

青森農研フラッシュ第4号トップへ


寒小ぎくの年内開花品種の選定

フラワーセンター21あおもり 普及技術部

 本県では、花き振興に向けた各種取組みを行っていますが、その基本となるのは花き栽培者の増加と栽培面積の拡大です。
 そこで、花き栽培の導入を進めるため、比較的簡単に栽培でき、種苗費が安く、需要が期待できる小ぎくに焦点を当てることにしました。中でも、寒小ぎくは低温により花芽分化し、開花が進む品種群であり、本県の秋冬の寒さにも十分対応できる品目です。
フラワーセンターでは、供試品種として、パテントがなく自由に増殖できる13品種を導入し、年内に開花する品種の選定を行いました。
 その結果、7月の定植後、無加温あるいは微加温(加温3~5℃程度)栽培で、11月頃から年末にかけて開花し、切り花品質も確保できる品種を選定しました。
 なお、天候や場所によって開花時期がずれることがあるので、導入する際は地域での開花時期等を把握してから栽培の拡大を図る必要があります。 

 品種名(左から順に) 金水晶、銀水晶、新年の美

 品種名(左から順に) 雪ロマン、雪月花、立冬

青森農研フラッシュ第4号トップへ


りんごの新わい性台木「青台3」

について

りんご試験場 栽培部

 「青台3」は、りんご試験場で昭和50年にマルバカイドウにわい性台木M.9を交配して育成し、平成13年に品種登録されたりんごのわい性台木です。
 これまで県内でわい化栽培に利用されてきた台木のほとんどはM.26とM.9Aですが、これらの台木は繁殖しにくいという問題から、台木の下にマルバカイドウ(従来使用していた、木が大きくなる台木)を付けて増殖し、そのままの状態で栽培されています。そのために本来のわい性台木の特性が十分発揮されず、樹が大きくなりすぎる、樹の揃いが悪い、ひこばえが多発する等の問題が生じています。
 それに対し、「青台3」は繁殖性が優れるため、マルバカイドウを利用する必要がなく、「青台3」のみに品種を接いだ木で栽培できます。その結果、木はコンパクトになり、生産性や作業性が、従来のマルバカイドウ付きわい性台木を利用した場合に比べると大きく向上するものと期待されます。

青森農研フラッシュ第4号トップへ

このページの
先頭へ戻る