青森農研フラッシュ 第5号

青森農研フラッシュ 第5号(平成16年5月)

ご飯が冷めても硬くなりにくい低アミロース水稲品種「ふ系198号」 農林総合研究センター藤坂稲作研究部
小ギク「青バイオ4号」デビュー間近 ! 農林総合研究センターグリーンバイオセンター
いちごの夏秋期以降どり作型の開発  農林総合研究センター畑作園芸試験場  
バラ養液栽培のロックウール代替資材  農林総合研究センターフラワーセンター21あおもり
 

ご飯が冷めても硬くなりにくい低アミロース水稲品種「ふ系198号」

農林総合研究センター藤坂稲作研究部

 「ふ系198号」は、突然変異により誘発した低アミロース性を持つ品種と「かけはし(青森県奨励品種で早生のウルチ品種)」の交配によって育成した系統で、米のアミロース含量が一般ウルチ品種より10%程度低く、耐冷性やいもち病抵抗性が強いなどの優れた特性を有している。平成15年度に、本県の「認定品種」に採用され、種苗法に基づく品種登録の出願手続きを進めている。
 低アミロース米は、米の主な成分であるでんぷんの一種アミロース含有率が低いため、炊飯した米の粘りが強く、柔らかい特性がある。普通に炊飯して食べるほかに、粘りが強く柔らかく冷めても硬くなりにくい特性を利用したチルド米飯、レトルト米飯等の加工食品へ利用されており、新たな商品開発の素材として注目されている。
 青森県ふるさと食品研究センターでは、「ふ系198号」の特性を生かして、冷凍寿司に利用する方法を開発し、解凍後も冷凍前と同様に柔らかくおいしい寿司ができたことから、民間業者と共同で商品化を進めている。


 


写真 放牧育成での別飼い状況

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小ギク「青バイオ4号」デビュー間近 !

農林総合研究センターグリーンバイオセンター

 県内における小ギクの栽培面積は18ヘクタール(平成14年)で、平成10年をピークに減少傾向にある。また、県産小ギクのほとんどは県内に出荷されているが、市場からは花色がはっきりしたものが望まれている。
 グリーンバイオセンターでは、平成9年度から、X線照射による突然変異を利用し、小ギク品種「芳香」から新品種を開発することを目指して研究開発を進めてきた結果、平成14年度までに花色等で有望と思われる7種類を作出した。
 これらの中から、青森県職務育成品種審査会で検討した結果、「青バイオ4号」が種苗法に基づく品種登録に出願されることになった。
 「青バイオ4号」の特徴は、
 1 花の色は「芳香」より濃い紫赤で、これまでの小ギクにはないはっきりした色合いとなっている。
 2 「芳香」に比べ、花びらがさじ弁で立ち上がり、新鮮な印象を与える。
 3 「芳香」と比較し草丈が高く、70センチメートル(L級)以上の規格がとりやすく商品化率が高まる。
  などで、生産現場や市場からも高く評価されており、現在、種苗法に基づく品種登録の出願手続きを進めている。

 

 

 

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いちごの夏秋期以降どり作型の開発

農林総合研究センター畑作園芸試験場

  品質・食味とも定評のある一季成り性品種を用い、夏期冷涼なやませ気象を利用して、国産いちごの端境期である夏秋期から収穫できる長期どり作型を開発中であり、これまでに次のことが明らかになったので紹介する。
 1 半促成栽培(3月から収穫)の収穫終了後、6月に芽の整理・摘葉等の株の手入れをし、さらに遮光して据え置き栽培することにより7月以降も引き続き収穫できる(写真)。この方法による「さちのか」の株当たりの商品果収量は、7月~10月が150g以上、11月~4月は500g以上となり、半促成と合わせると1kg以上となる(図)。
 2 当年苗及び越年苗を準備し、これに8時間日長(8:30~16:30)の短日処理を30~50日程度行うことにより、越年苗利用では7月~10月、当年苗利用では9月~12月に収穫でき、さらに翌年の春にも収穫できる。

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バラ養液栽培のロックウール代替資材

農林総合研究センターフラワーセンター21あおもり

  県内のバラ養液栽培ではロックウールが培地資材として使用されているが、この資材は再利用ができず、不燃の産業廃棄物として埋立処理されている。このため、使用後の再利用が可能で、廃棄処理した場合にも容積を少なくできる代替資材を検討した結果、「もみ殻くん炭」と「フェノール発泡樹脂」が有用であることが明らかになった。これらはロックウールよりも気相率が高いため、根の生育が良く、初期生育が優れるほか、品種にもよるがロックウールと同等以上の収量と品質を確保できるため、生産面で有利な資材といえる。また、「もみ殻くん炭」はロックウールに比べて入手価格が安いため、コスト低減の面から期待され、「フェノール発泡樹脂」はフェノール性の無機質培地(フラワーアレンジメントのオアシスの類似物)で、焼却処分してもダイオキシン等の有害物質を発生しないという利点がある。
 

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