青森農研フラッシュ 第8号

青森農研フラッシュ 第8号(平成17年3月)

本県で初めて確認された病害虫2種の紹介 農林総合研究センター 病害虫防除室
「有機農産物など」と「農産物直売所」に関するアンケート結果について 農林総合研究センター 経営研究室
りんごの新商標名「北紅」と「星の金貨」に決定  農林総合研究センターりんご試験場 育種部
バイオガスプラントによる「冬の農業」1年目  農林総合研究センター畜産試験場 草地飼料部
サルナシの育種素材選抜  農林総合研究センター林業試験場 育林環境部
 

本県で初めて確認された病害虫2種の紹介 

農林総合研究センター 病害虫防除室

1 メロンつる割病菌レース1,2y
メロンつる割病菌には4つのレースがあり、 このうち本県ではこれまで「レース2」のみが 確認されていました。しかし、平成14年8月に 「レース2」に抵抗性を示す品種に激しいつる 割病の症状が確認され、平成15、16年にレース 検定を行ったところ、津軽地域3町村15地点で 「レース1,2y」の発生が初めて確認されました。
今後、メロンつる割病に対する防除は、「レース1,2y」を含めて行う必要があります。

2 野菜・花きのアシグロハモグリバエ
平成16年に、国内では北海道、山口県、宮城県に続いて4番目に本県で発生が確認されました。本種は9市町 村17地点で発生が広く確認され、寄主範囲が広く14科30品目で寄生が確認されていることから、今後の発生拡大 に十分注意しながら、防除を徹底することが必要です。

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「有機農産物など」と「農産物直売所」に関するアン

ケート結果について

農林総合研究センター 経営研究室

  消費者の食に対する安全・安心志向が高まるなかで、有機農産物などや農産物直売活動への関心が高まっています。そこで、当研究室では県内の消費者世帯1,500世帯(青森市、八戸市、弘前市各500世帯)を対象にアンケートを実施しました(有効回答数481世帯・32.8%)。
左のグラフは、アンケート結果の一部を抜き出したものですが、「直売所利用頻度」が高いほど「有機農産物などの購入頻度」が高い傾向が伺えます。有機農産物などの購入場所を「直売所」に限定していませんのでハッキリしたことは言えませんが、地場流通ルートとして「直売所」の可能性は大きいと思われます。
しかし、別の設問では、スーパー等に比べ郊外に多い「直売所」では有機農産物などは買いづらいという意向も示されています。 
今後、生産体制の整備もさることながら、スーパーとの提携や宅配便の利用など「有機」ファンがもっと買いやすくなるような販売面での工夫が必要です。

 

 

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りんごの新商標名「北紅」と「星の金貨」に決定

農林総合研究センターりんご試験場 育種部

当試験場が育成・選抜して、平成15年3月と平成16年1月に品種登録されている「あおり13」と「あおり15」について、県では平成16年4月に商標登録を申請していましたが、このほど、「あおり13」が「北紅」、「あおり15」が「星の金貨」として登録されました。

○北    紅(きたくれない)
「世界一」と「あかね」の組み合わせで、収穫時期が10月上旬の中生種です。特徴は、大きさが350~400gと大玉で、果色は濃い紅色、糖度が14~15%程度、酸度が0.3%程度と「ふじ」より甘く、香りがありジューシーで蜜がたっぷり入ります。普通貯蔵で12月末ころまでおいしく食べられ、「つがる」と「ジョナゴールド」をつなぐ品種として、また、酸味があるジョナゴールドに対して甘い品種として期待されています。

○星 の 金 貨(ほしのきんか)
「ふじ」と「青り3号(東光×リチャードデリシャス)」の組合せで、収穫時期が10月下旬の晩生種です。特徴は果色があざやかな黄色で、大きさが250~300g程度、糖度が15~16%前後、酸度は0.3%程度と「王林」より甘く、ジューシーで食感が良好です。手頃な大きさと果皮が薄いので‘丸かじり’りんごに適します。また、貯蔵性に優れており、普通冷蔵でも6月末までおいしく、「王林」販売の後を担う黄色品種として期待されています。

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バイオガスプラントによる,

「冬の農業」1年目

農林総合研究センター畜産試験場 草地飼料部

家畜排せつ物をメタン発酵させ、発生したガスを効率的に取り出すバイオガスプラントが建設されて初めての冬を迎えました。発酵の原料となる乳牛ふん尿は凍りつき、グラスウールで保温された発酵槽は吹き付ける寒風にさらされ、発酵適温が36℃であるメタン発酵にはとても厳しい季節です。
発生したメタンガスのほとんどは発酵原料の加温と発酵槽の保温に消費されてしまいますが、わずかに得られる余剰エネルギーはビニールハウスでの「冬の農業」の実証に利用しています。30坪のビニールハウスには、15㎝の深さに温水配管を埋設し、バイオガスプラントで得た温水を循環しています。循環温水は40~45℃でハウス内に入り、5℃ほど冷やされてプラントに戻ります。この間に約60kcal/分の熱量をハウスに供給します。この熱量は1日で灯油9.4?、つまりポリタンク半分強に相当します。ハウスでは1月下旬からホウレンソウと小松菜を作付けしたほか、2月上旬からは日照の影響を受けないシイタケの栽培を始めました。
今後、ハウス内の地温や作物の生育状況の調査を行うとともに、メタン発生量の向上をねらいとした発酵原料へのりんごジュース搾りかす添加試験など効率的なメタン生成技術の確立に取り組んでいきます。

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サルナシの育種素材選抜

農林総合研究センター林業試験場 育林環境部

サルナシは、山のキウイフルーツとして生食されたり、ワインやジャム等に加工され、地域特産物として、徐々に活用が図られています。また、粗放管理が可能な寒冷地向きの特用樹です。
当試験場では、平成16年度からグリーンバイオセンターと共同で、サルナシの果実を大型化し、青森県の特産物として活用するための試験研究に取り組んでおり、大型化のための育種素材として、県内の自生株から果実が大きく、収量が多く見込める系統を選抜しています。
サルナシの育種素材候補樹として、過去に選抜したものを含めて、県内から25系統を確保しました。各系統とも果実の大きなもの上位20果の重さ、大きさを計測し、さらに1週間追熟後、糖度を測定しました。その結果、キウィフルーツの原種であるシマサルナシ(果重10~20g)に匹敵する重さのものや、それより小さいが糖度が高い系統など、5系統を選抜しました。今後、それらを育種素材として、グリーンバイオセンターに挿し木苗、穂木、種子の形で供給することにしています。

 

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