青森農研フラッシュ 第9号

青森農研フラッシュ 第9号(平成17年6月)

いもち病抵抗性が強く食味の優れた水稲新品種「青系138号」 農林総合研究センター 水稲育種部
根端培養によるニンニクの大量増殖 農林総合研究センターグリーンバイオセンター 微生物工学研究部
にんにく病害虫抵抗性品種育成技術の開発 農林総合研究センター畑作園芸試験場 作物改良部
トマト黄化えそウイルス(TSWV)の根絶 農林総合研究センターフラワーセンター21あおもり 生産技術部
 

いもち病抵抗性が強く
食味の優れた水稲新品種「青系138号」
 

農林総合研究センター 水稲育種部

 本県では、家庭用米として「つがるロマン」が、また業務用米として「ゆめあかり」と「むつほまれ」が生産されていますが、業務用米については、より食味が優れ、栽培特性が安定した品種の育成が望まれていました。そこで「奥羽341号」と「山形40号」を両親とするコシヒカリ系の「青系138号」を育成しました。(平成17年3月に県の奨励品種に指定)「青系138号」は、いもち病抵抗性は「ゆめあかり」・「むつほまれ」より強く、食味は「ゆめあかり」よりやや優り「むつほまれ」よりは明らかに優ります。また、耐冷性は「むつほまれ」より強く、収量は「むつほまれ」よりやや少ないものの「ゆめあかり」よりやや多収です。栽培適地は、津軽西北地帯・南部平野内陸地帯を中心とした地域で、本格的な栽培は平成19年度からとなります。今後、この品種を「売れる主力品種」として育てていくために、品種の命名を行うとともに、キャラクターデザインを作成するなどして積極的な売り込みを図ることになっています。  

   


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根端培養によるニンニクの大量増殖

農林総合研究センターグリーンバイオセンター 微生物工学研究部

 ニンニクは、リン片で増殖するため増殖効率が低く、圃場栽培を繰り返すうちにウイルス等の病害虫に汚染されることが多い作物です。
 そこで、優良種苗増殖の効率化を図るため、根端培養を用いた大量増殖法を確立します。

 

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にんにく病害虫抵抗性品種育成技術の開発

農林総合研究センター畑作園芸試験場 作物改良部

 本県で栽培しているにんにくの「福地ホワイト」は、大玉で肌が白いという優れた特徴をもっていますが、さび病や土壌病害及びイモグサレセンチュウなどに弱く、これまで主に農薬等による防除技術を確立し対応してきました。
 今後とも日本一の産地を維持・拡大し、攻めの農林水産業を推進する上でブランド品目として売り込むためには、農薬等の使用を極力抑えた、より安全で安心な生産技術の開発を推進する必要があります。
 そこで、畑作園芸試験場では、平成17年度から20年度にかけて、作物改良部及び病害虫防除室でチームを編成し、
 ①病害虫抵抗性育種に向けた抵抗性品種の探索・スクリーニング
 ②イモグサレセンチュウ増殖抑制機構の解明
 ③交配育種に向けた花芽形成誘導環境要因の解明
 ④無機化学成分、ウイルスゲノム、DNAマーカーを活用した産地・
品種系統識別法の開発
を目指すことにしています。





 


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トマト黄化えそウイルス(TSWV)の根絶

農林総合研究センターフラワーセンター21あおもり 生産技術部

 
 TSWVは防除の困難な害虫「ミカンキイロアザミウマ」が媒介し、花きを中心に大きな被害をもたらす多犯性のウイルスであることから、この防除対策の確立が求められていました。そこで、キク、トルコギキョウなどでTSWVが激発していた6棟のハウスで平成14~15年の2か年にわたりTSWVの根絶試験に取り組みました。
 防除対策の内容は、
 ①発病株の徹底した抜き取り処分
 ②防虫ネットの設置
 ③粘着トラップでアザミウマ密度をモニタリングしながらの薬剤散布
 ④作付け終了後のハウス密閉高温処理
などです。
 これらの対策を継続した結果、TSWVの発生は1年目の後半には顕著に減少し、2年目の後半にはほぼ終息しました。その後、平成17年5月現在に至るまでTSWVは発生していないことから根絶したと判断しました。
 以上の試験は農家及び地域農業改良普及センター(当時)と緊密な連携・協力の下に実施したものであり、この成果は今後の防除指導に大いに役立つものと考えられます。






 

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