特産果樹主要品種

2021年12月21日

青森県では、りんご以外の果樹を「特産果樹」と呼んでいます。平成28年度の青森県の果樹栽培面積は22,358ha(うち特産果樹1,558ha)で、全国の11.2%を占め全国1位となっています。品目別の栽培面積は、西洋なしが152haで2位、おうとう(さくらんぼ)が306haで4位、ぶどうが460haで8位、ももが129haで10位と、全国の上位を占めています。青森県における果実の農業産出額(りんごも含む)は854億円で、全国の10.2%を占め全国1位となっており、青森県は全国的に主要な果樹産地と言えます。

 

 

ぶどう Grape

 

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スチューベン
(収穫時期:10月上~中旬)
ニューヨーク州立農試が、「ウェイン」に「シュリダン」を交配して育成した品種で、1947年に発表されました。日本には昭和27年(1952年)に農林省果樹試験場が導入しました。耐寒性がやや劣りますが、結実が安定しており、作りやすい品種です。高糖度(18度以上)で、独特の香りがあり、長期貯蔵ができることから、年明け後の販売が可能です。

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キャンベル・アーリー
(収穫時期:9月下旬)
アメリカのジョージ・W・キャンベル氏が、「ムーア・アーリー」に「ベルビダー×マスカットハンブルグ」を交配して育成した品種で、1894年に発表されました。日本には明治30年(1897年)に川上善兵衛氏が導入しました。耐寒性があり豊産性で、栽培が容易な品種です。主に開花期の低温で花振るいが発生することがあります。着色は容易ですが、糖度が十分上がってから収穫する必要があります。過熟果は脱粒しやすい特徴があります。

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シャインマスカット
(収穫時期:9月下旬~10月下旬)
農林水産省果樹試験場安芸津支場が、「安芸津21号(スチューベン×マスカット・オブ・アレキサンドリア)」に「白南」を交配して育成した品種で、平成18年に品種登録されました。ジベレリン処理により無核(種なし)となり、皮が薄いので、皮ごと食べられて食味は良好です。果皮が黄緑色の白ぶどうで、果皮に褐変(かすり症)が発生することがありますが、有袋栽培で軽減できます。貯蔵性が高く、普通冷蔵で4か月貯蔵が可能です。

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サニールージュ
(収穫時期:8月上旬~9月中旬)
農林水産省果樹試験場安芸津支場が、「ピオーネ」に「レッドパール」を交配して育成した品種で、平成12年に品種登録されました。果皮が赤紫~赤褐色、果粒の形が短楕円形の特徴あるぶどうです。ジベレリン処理により無核(種なし)となります。豊産性で、花振るいの心配はありませんが、果粒が密着しやすく、適切な摘粒作業が重要です。

 

おうとう(さくらんぼ) Cherry

 

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(収穫時期:7月上旬~中旬)
りんご研究所が育成し、平成25年に品種登録した新品種です。形がハート型であることから命名されました。鮮やかな紅色~濃赤色で、大きさは約11g、3L主体の大玉品種です。見栄えが良く高級感があり、青森県期待の新品種です。中でも、サイズが4L以上の高品質なものは「青森ハートビート」とブランド化され販売されています。

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佐藤錦
(収穫時期:6月下旬)
山形県東根市の佐藤栄助氏が、「ナポレオン」に「黄玉」を交配し、育成したといわれています。花芽の着生が多く、枝が発生しやすいので作りやすい品種です。甘酸適和で良食味ですが、着色が進まないまま、過熟になる「うるみ果」が発生することがあります。

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紅秀峰
(収穫時期:7月上~中旬)
山形県立園芸試験場が、昭和54年に「佐藤錦」と「天香錦」を交配して育成された品種で、平成3年に品種登録されました。果形が扁円形で、果肉が硬く甘味の強い品種です。豊産性で、結実過多になり樹勢衰弱がみられるので、摘芽や摘果などにより着果を制限することが重要です。 

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南陽
(収穫時期:7月上~中旬)
山形県農業試験場置賜分場で「ナポレオン」の交雑実生から育成され、昭和53年に品種登録されました。大果で甘味が多く、果汁もあり、食べごたえがあります。結果期に達するのがやや遅く、花芽の着生もやや悪い品種です。また、着色しにくいので、光が十分当たるように剪定や着色管理を徹底する必要があります。

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サミット
(収穫時期:7月上~中旬)
カナダ農業試験場で「バン」に「サム」を交配して育成され、1973年に命名されました。昭和50年(1975年)に青森県畑作園芸試験場(現在の当研究所県南果樹部)が導入しました。大果で甘味・酸味ともあり、紫黒色になった時が収穫適期です。過着果になると著しく樹勢が弱るので、着果程度は1花束状短果枝当たり2~3果とします。果皮色に赤みが残っているうちは食味が劣るので、果皮色が紫黒色になってから収穫します。

 

もも Peach

 

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川中島白桃
(収穫時期:9月上旬)
長野市川中島町の池田正元氏が、昭和38年頃に自園でももの偶発実生の中から発見し、昭和52年に命名しました。果実が大玉で果汁が多く、食味は良好です。健全な花粉がないので、授粉樹が必要です。

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あかつき
(収穫時期:8月下旬)
農林省果樹試験場で昭和27年に「白桃」に「白鳳」を交配して育成され、昭和54年に命名登録されました。玉揃いが良く、着色は容易な品種です。花粉が多く、結実も良好です。短果枝主体に連年結実させるとやや小玉傾向なります。

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まどか
(収穫時期:8月下旬)
山形県の株式会社イシドウが、「大玉あかつき」の自然交雑実生より選抜し育成しました。着色の良い品種で、果肉は硬めでち密、食味良好です。豊産性で過着果になりやすいので、摘果が遅れないよう適切な着果管理が重要です。

 

ネクタリン Nectarine

 

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フレーバートップ
(収穫時期:9月中旬)
ネクタリンは果面に毛がなく、光沢がありますが、ももの一変種とみなされています。ネクタリンの多くの品種はアメリカから導入されたものです。果皮の着色は容易で外観は良好な品種です。花粉が多く結実も良好です。果肉は黄色でやや強い酸味があります。

 

西洋なし European pear

 

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ゼネラル・レクラーク
(収穫時期:9月下旬)
フランスのアンジェ国立果樹試験場で10年間の特性調査後、1950年に公表されました。両親は不明です。青森県畑作園芸試験場(現在の当研究所県南果樹部)には昭和52年(1977年)に導入されました。大果で豊産性なので作りやすい品種です。果面にサビを生じます。追熟後の果肉はきめ細かく溶解性で、果肉の色は黄白で果汁は多い品種です。「ラ・フランス」とは異なる特有の香りがあります。

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ラ・フランス
(収穫時期:10月中旬)
フランスで1864年に発見されました。日本への導入は明治36年(1903年)といわれています。果面に凹凸があり、外観はあまり良くありませんが、果肉はち密で果汁が多く、食味は良好で、特有の香りがあります。

 

日本なし Japanese pear

 

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幸水
(収穫時期:9月下旬)
農林省園芸試験場で、昭和16年に「菊水」に「早生幸蔵」を交配し育成したもので、昭和34年に命名されました。酸味は少なく、糖度は高い品種で肉質も良く食味は良好です。

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多摩
(収穫時期:9月中旬)
昭和38年に東京都農業試験場が「祇園」に「幸水」を交配して育成し、昭和46年に命名登録されました。大果で、外観は「幸水」に似ていますが、年により果面のサビがまだら状になることもあります。甘みが強く、酸味は少ない品種です。

 

うめ Japanese apricot

 

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豊後
(収穫時期:7月上~中旬)
うめとあんずの交雑実生といわれています。うめの中では最も耐寒性が強く、古くから各地で栽培されており、多くの系統があります。自家不和合性のため、授粉樹が必要です。また、花粉が少ないので他品種の授粉樹には適しません。梅酒、梅漬け、梅干し用と、用途は様々です。

 

あんず Apricot

 

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八助
(収穫時期:7月中~下旬)
青森県三戸地方で、古くから栽培されている品種です。自家和合性のため、授粉樹は必要ありません。果肉はち密で甘みが強い品種です。主に漬けうめ(あんずなのに)やしそ巻きなどの加工品に用いられます。

 

すもも Plum

 

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大石早生すもも
(収穫時期:7月下旬~8月上旬)
福島県の大石俊雄氏が育成した品種で、「フォーモサ」の自然交雑実生です。昭和27年に命名登録されました。結実が安定しており、作りやすい品種です。甘味と酸味があり、果汁も豊富で、さわやかな食味が特徴です。

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ソルダム
(収穫時期:8月下旬)
明治40年(1907年)にアメリカから日本に導入されましたが、原名は不明です。結実が安定しており、作りやすい品種です。果肉は硬く、日持ちが良いのが特徴です。

 

プルーン Prune

 

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スイートサンプルーン
(収穫時期:9月中旬~下旬)
「サンプルーン」の中から甘味の強い系統として選抜された品種です。自家結実性ですが、隔年結果もするので結実過多にならないように注意が必要です。

 

ブルーベリー Blueberry

 

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コリンズ
(収穫時期:7月上旬~8月上旬)
アメリカ、ニュージャージー州ニューブルンスウイックにて、アメリカ農務省とニュージャージー州立農業試験場の共同研究で、「スタンレイ」に「ウェイマウス」を交配して育成し、1949年に発表されました。果実は大粒で果粉が多い品種で、甘酸のバランスがよく食味は良好です。

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コビル
(収穫時期:8月上旬~9月上旬)
アメリカ、ニュージャージー州ウェイマウスにて、アメリカ農務省のF・V・コビル氏とニュージャージー州立農業試験場のF・A・ギルバート氏が、GM37(ジャージー×パイオニア)に「スタンレイ」を交配して育成し、1949年に発表されました。果実は大粒で果粉が多い品種で、香りは強く、酸味が強い特徴があります。

 

カシス Cassis

 

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青森在来(あおもりカシス)
(収穫時期:7月上旬~下旬)
青森市に約40年前にドイツから導入され、継続して栽培されている品種で、正式な品種名は不明です。青森市の「あおもりカシスの会」が独占的に栽培し、「あおもりカシス」として地理的表示保護制度の登録を受けています。果実は小さめですが風味は豊かで、収穫量が多い品種です。ジャムやジュースの加工原料、菓子素材として利用されています。

 

 

お問い合わせ

農林部門 りんご研究所
電話:0172-52-2331
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