品種の抵抗力で農薬を減らし安全安心な米作りを

品種の抵抗力で農薬を減らし安全安心な米作りを

 


いもち病に強い品種をつくる取り組み


○東北地方で発生する稲の病害で、もっとも被害の大きいのがいもち病です。いもち病はかび(糸状菌)の一種によって引き起こされ、いもち病に感染した稲は葉や茎に病斑ができ、そこから籾や穂の軸に菌が感染し、籾や穂が枯れてしまいます。その結果、収量や品質が低下してしまいます

○いもち病の防除手段としては、農薬(殺菌剤)散布が広く行われている方法ですが、環境保全や「食の安心」を求めるニーズの高まりから、その使用削減が求められています。

 


いもち病発生の様子

2003年 青森県十和田市におけるいもち激発状況
(茶色く枯れているのがいもち病です。)

 

葉いもちの病斑 


これまでの研究成果

○農薬散布によらずにいもち病を防ぐ方法としては、品種が本来持っている病気に対する抵抗力(抵抗性)を高めることが有効です。

○藤坂稲作部では、北海188号という昔の系統から、高度のいもち病抵抗性遺伝子「pi35(t)」を導入した「ゆきのはな」(低アミロース系統でもあります)や、温暖地域の品種で防除効果を上げている穂いもち病に特に有効な「Pb1」遺伝子をもつ「ふ系208号」などの系統を開発しました。

○藤坂稲作部のある青森県南部地方では2003年に低温と日照不足によりいもち病が激発し、試験圃場でも多くの発病が見られましたが、これらの系統は従来品種に比べ明らかにいもち病の発生が少なく、その抵抗性の強さが証明されました。その時の写真がこちら↓です。

Pb1を保有し、穂いもちに強い「ふ系208号」(左)穂いもちの被害を受けている「ゆめあかり」(右)

 


pi35(t)を保有しいもち病に非常に強い「ゆきのはな」(左)穂いもちの被害を受けている「かけはし」(右) 


 


最近の研究内容

○穂いもち抵抗性遺伝子Pb1を有する育種材料の養成と選抜を行っています。選抜にはDNAマーカー使用して効率的にPb1の有無を確認しています。

○いもち病抵抗性遺伝子pi35(t)のDNAマーカーを利用した選抜結果と、実際の葉いもちほ場抵抗性の検定結果から、そのDNAマーカーの選抜効果を確認しています。

△:Pb1を保有していない系統のバンドパターン
▲:Pb1を保有している系統のバンドパターン
注)愛知101号はふ系208号の親でPb1保有系統。

このページの
先頭へ戻る